●川崎市民が誇るべき「子どもの未来を拓く川崎集会」が開催されました。実に第33回目となります。
全体会の講師は西野博之さん。NPO法人フリースクールたまり場理事長、また2006年から21年までは「川崎市子ども夢パーク」の所長でした。(子ども夢パークのすばらしさは11月10日アップのブログに)
◆ストレスをため込む子どもたち
*不登校の児童生徒数(小中学校)34万6482人(24年10月文科省発表)… 小学生13万370人(10年前の5倍)、中学生21万6112人(10年前の22倍)
*引きこもり約146万人(23年3月内閣府推計)
*いじめ認知件数 73万2568件(24年10月文科省)… 重大事態1306件(過去最多)
*暴力行為 10万8987件(24年10月文科省)
*自ら命を絶つ 22年1年間(24年3月厚労省)… 小学生17人・中学生143人・高校生354人(1980年以降過去最多) 10~39歳死因の第一位は自死。
◆子どもと過ごし思うこと
*自己肯定感が低い子どもたち
*どこでも本音が出せない子どもたち
*子どもの自信を奪う大人の不安 …・親が先回りして失敗を防止 ・「子育てこれでいいの?」という不安 ・勉強もスポーツもできなければならない?
*正しい親に見られたい …・勉強できる子、スポーツできる子、友達多い子 ・早くから習い事(かけっこ家庭教師、逆上がり 家庭教師まで)
*完璧や正しさを求めすぎる家庭 … 弱音がはけない ⇒怒りが蓄積 ⇒暴力・いじめなど。
◆「川崎市子ども夢パーク」でのとりくみ
*冒険遊び場(プレパーク)づくり:「けがと弁当自分持ち」、できるだけ禁止事項をつくらない
*手に入れたい「ちから」 …・少々の「危険」を残した遊び場づくり ・安心して失敗できる環境づくり ・危険を察知予測し、それを回避する力を養う。
*五感を使って群れて遊ぶことの大切さ
◆公設民営型「フリースペースえん」(主に不登校児童生徒の居場所)
*「出会い」と「つながり」と「自己肯定感」を育む「居場所」
*川崎市生涯学習財団と共同運営事業体をつくり、指定管理者として「子ども夢パーク」全体を管理・運営 …・会員登録性、年齢制限なし ・自分で決めるプログラム ・個別学習支援、様々な問題への相談支援活動 ・出席認定(希望した生徒はすべて出席扱い)
◆不登校・ひきこもりの子どもとその過程を支えるために
*学校に行かない理由は自分でもわからない:原因探しよりは、今の状態を受け入れること
*「このままの状態がずっと続くわけではない」 …・親の不安に寄り添う ・手遅れはない、いつからでも間に合う
*「不登校はダメ」ではない:「不登校の時代も自分にとって意味のある時間だった」と思えることが大事 …・教育機会確保法3条・13条などを力に。
*やってはならない支援:脅しのような叱咤激励
*問題を個人や家族のこととして責任を押し付けるのではなく、社会問題としてとらえる視点が大切
*ゴールを設けるのではなく、問題を抱えながら安定した生活を送る(ヘルプが出せる)
*多様な情報を提供しながら、迷いや揺らぎに寄り添い自己決定を尊重
◆親・先生・支援者が手に入れたいこと
*子どもの育ちには無駄に思える時間やスキマも大事
*子どもを見過ぎない
*比べない
*先回りはしない
*完璧を求めない
*正しいことは控えめに語る
*「がんばれ」より「頑張っているね」
*親だって失敗していい
*子どもの思いを受け止める…・話をしっかり聞く、共感と受容 ・「支援臭」を発する大人から子どもは逃げる
◆子どもの話を聴くということ
*ウソか本当かにこだわらない
*無理に聞き出さない
*言葉の間の沈黙を待つことが大事
*「スキ」をつくる = 忙しそうにしている大人には、子どもは近づいてこない
*答えを出すことが大人の役目ではない = しっかり話を聴いてもらった子どもは自分の中から答えを見つける
◆子どもの居場所をつくるために必要なまなざし
*多様な「ものさし」を!
*問題行動の背景にあるものに思いを巡らす=子どもは大変な状況をけなげに生きてきた
*正論だけでは子どもは育たない
*どんな子どもにもプライドがある
*すべては生きていくためのプロセス
*生きているだけで凄いんだ =「あなたがいてくれて幸せだよ」を子どもに届ける
*「助けて」と言えることが自立には必要
◆子どもから大人へのメッセージ
「大人が幸せにいてください。大人が幸せじゃないのに、子どもだけ幸せにはなれません。大人が幸せな中で子どもが安心して生きることができます」
●頷ける言葉があふれていました。そして自らの子育てを振り返りながら、気づかされることも少なからず。
大人が幸せであること、とりもなおさずそういう社会であることが問われています。(2024.12.1)