君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

AI革命と日本経済・社会の課題 |君嶋ちか子|神奈川18区|前県議会議員

2024年12月15日

●私はNPOかながわ総研(特定非営利活動法人 かながわ総合政策研究センター)という組織に属し仕事をしています。

総研セミナーとして「AI革命と日本経済・社会の課題」を開催しました。講師は桜美林大学の藤田実教授です。主な内容を紹介します。

 注;AIは、英語の「Artificial Intelligence」の略。日本語訳すると「人工知能」です。

◆ICT産業はGAFAMなどが独占

・クラウドサービスもネットワーク機器も日本企業の影は薄い。

・ハードでもソフトでもICT産業のコアには参入できない(日本企業は半導体材料・装置産業くらい)

 注:ICT「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略。

◆AIにおける新独占

*新しい情報材の出現、技術革新による新規参入

*生成AI技術の自社製品・サービスの開発・取り込み競争

大規模なコンピューターによるデータ収集と解析が必要。また大規模な資本と技術の融合も必要.→ GAFAMからGOMA(Google Open AI, Microsoft Anthropic)へ

◆生成AIをめぐる独占と競争

*AIサービス(文章生成、画像生成、画像認識、チャットポットなどの競争)

*基盤技術(機械学習・生成AIの寡占)

*データセンターの競争

*エッジAI(スマホなど)の寡占

*AI半導体の競争

◆生成AIめぐる日本企業の対応

日本語LLM(大規模言語モデル)開発

 ・2023年5月サイバーエージェントが開発

 ・2023年7月NICT(国立研究開発法人情報逓信研究機構)による国産LLMの開発

 ・2023年11月NTT:軽量かつ学習やチューニングに必要なコストの低減が可能

*独自の手法でLLM開発

 ・SAKANA AI(グーグルの元研究者と元メルカリの伊藤錬)

 ・LLM駆動型発見プロセス(AI自らにAIの学習方法を提案させる)

*2023年11月:NTTが生成AIサービスを展開、法人向けに24年3月から提供

*2023年10月:NECカスタマイズ可能な生成AIを開発し日本市場のニーズに合わせ提供

*2023年6月:ソフトバンクが生成AI開発、企業に提供

◆日本のデジタル植民地化

*脆弱なICT・対米従属的産業政策・DXの推進 ⇒ アメリカのデジタル植民地というべき状態 ⇒ デジタル赤字の拡大

*日米デジタル貿易協定(2019年)はデータ主権を放棄し対米従属へと

 ・圧倒的な競争力を有するGAFAMの日本国内での自由な活動を保障

 ・収集されたデータはアメリカ国内に送信し、アメリカ企業のサービス強化に役立てることを保障

◆AIと労働めぐる議論

*<どのような労働を代替するか>

AI技術の進行度合いや技術の性格、企業の導入目的などによって異なる

*<AIは何ができるか>

人間が要求する内容を自律的に推論し、文章作成、データ分析・判断、画像生成、音声生成、プログラミングのコード作成、プレゼン作成などを人間より高速で行う。

*<作業の効率化や生産性向上に寄与>

製造業の需要予測、作業自動化、選別、機械装置の保全、運輸業での自動運転や最適ルートの選定、在庫管理、コールセンターでの最適回答、最適金融投資戦略の策定、医療診断補助や最適医療の提供、新薬品の生成、データ分析、会計書類や法務書類の作成、プログラミングにおけるコーディング作業.

*<アメリカの調査では>

 ・LLMの導入により従業員の約80%が、業務タスクの10%に影響が出る可能性を指摘。

 ・米国の雇用のうちAIにとって代わられるのは7%、補完される業務は63%。

 ・AIにとって代わられるリスクが最も高いのは事務及び管理支援職(46%)、法務職44%など。

*<ILOの調査では>

 ・影響が最も大きいのは事務作業、24%が影響を受ける。

 ・仕事を完全に自動化するのではなく、仕事を補強する役割

 ・潜在的な雇用効果:低所得国では全雇用の0.4%、高所得国では5.5%

 ・自動化の影響が出る可能性は、女性が男性の倍以上

◆AI技術による労働の変化

*<量的変化>

 大量失業時代の到来とさせないためには経済成長を前提とし、労働移動やワークシェアリングが考えられる

*<質的変化>

 ・労働の高度化、知的労働の代替(文章や画像の創造)、単純化(コールセンターなど)

 ・複雑な労働の分解⇒単純化した労働 ⇒ 非正規雇用の増大

 ・労働者は、AIでは不十分な解析結果の解釈や応用、新しいアイデアや発想の展開に専念

 ・賃金格差は大きくなることが想定される

 ・二極化

 ①AIアルゴリズム(AIの動作を規定する手順)の開発や実装、データ分析や検証などの高度な知識を必要とされる労働

 ②機械学習のためのデータ収集や整形などの事前処理

*<労働過程の変化>

 ・人間はAIにはできない業務(肉体労働や接客業務)を担う

 ・AIシステムの開発やデータ分析など高度なAIエンジニアが必要とされるが、同時にデータ収集成型などの膨大な低賃金労働者も必要とされる(二極化)

●駆け足でAIの概要を辿りました。

今後、人間の能力や人間性にどのような影響を与えていくか、概して二極化が進む労働過程をどのようにフォローしていくか、より人間性を豊かにしていく方向での活用が問われると思います。(2024.12.1)

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