君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

外国人家事支援労働者の行方、国と県に怒り |君嶋ちか子|神奈川県会議員

2021年10月10日

● 常任委員会質問の後半で取り上げたのは、外国人家事支援事業です。

3月に「家事支援事業に従事していたフィリピン女性206名が、雇用主のニチイ学館から契約更新されず、98人は帰国したが、48人の所在が不明」との新聞報道がありました。私は、「アーやはり…」と暗澹たる気持ちになりました。

この事業の提案がされた2015年当時から反対をしてきました。セクハラなどが生じ易い家事支援に外国人女性を送り出すことはそのリスクを増すと考えたからです。さらに供給過剰に至った場合に安定的な職業転換なども困難だからです。

当時の委員会で、これらの問題を投げかけると当局は、「第三者管理協議会が適切に対応する」と答えています。

強行された後も何度かその後の状況を聞いてきましたが、当局は、そのつど問題は聞いていないと答えていました。

● 制度と問題点、当局とのやり取りで示されたことなどを、以下にまとめます。

外国人家事支援事業は、安倍政権が掲げた国家戦略特区のひとつとして、2017年にスタート。働く女性支援などと謳っていました。雇用企業を特定機関としています。

第三者管理協議会(関係自治体・内閣府地方創生推進室・地方入国管理局・都道府県労働局・地方経済産業局)が設けられ、苦情相談・特定機関の基準適合性確認・監査など行います。

▲事務局は県が担っています。ところが事務局に聞いても実態が伝わってきません。県の雇用労政課には当初非公表とまで言われました。何故非公表なのかと問いただし、内閣府に電話をしてようやく行政指導にたどり着くことができました。

この行政指導は「内閣府地方創生推進事務局」名で行われ、日付はなんと9月28日。なぜこれほど遅れたのかを聞いても答えは返ってきませんでした。

議事録が欲しいといっても「議事録はない」、なぜ残していないのかと問うと「会議はやっていない」との答え、第三者管理協議会と事務局の実態が問われます。

▲行政指導の中には、ア.稼働率の改善、イ.非自発的離職者を発生させない措置、ウ.労働者の部屋への立ち入り、に際しての留意事項などが記されています。

ア.は、受け入れが過剰であったことを示しています。

イ.に関わっては、契約更新が叶わなかった場合、他の受け入れ特定機関を確保すること、帰国を希望する人には、最大限の帰国支援に努めること等が指摘されています。ニチイ学館は別の企業へのあっせんを行わず帰国を求めたと言われています。

ウ.については、社員寮に抜き打ちで立ち入り、一部同意なく引き出しチェックなどを行う、部屋干しの下着などを撮影したとの報道があります。

● 外国人労働者の相談を多く受けている方から実態を伺っています。失踪に至らざるを得ない事例は多くあると聞いています。一つは妊娠です。合意による場合も性暴力による場合も「妊娠すると国に帰れ」と言われるのが怖くて、一人で産み、乳児の置き去りや殺害に至る場合もあると聞いています。妊娠についての受け入れを明確にしてほしいと要望しました。具体的な裏付けを確立しなければなりません。

● 明確な見通しも持たず過剰に呼び込み、その結果生じた契約不履行を放置し、外国人女性の人生を狂わせてしまう、場合によっては乳児の命さえ奪ってしまう、これらの過程で様々な人権侵害も生じさせているこの事業の見直しを求めました。

怒りを覚えながら、特区事業として推し進めた神奈川県の認識を問いましたが、具体的言葉は語られませんでした。

国と神奈川県の責任が問われます。引き続く課題です。(2021.10.4)

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