●県立循環器呼吸器センターを訪問しました。
この病院は、クルーズ船陽性患者の受け入れを2月12日、市中感染者受入れを28日から行っています。その後4月1日に、重点医療機関の一つとして公表されました。
2月12日から9月30日までの陽性患者等受け入れは214人となっています。
また5月18日からPCR検査(検体採取まで)を開始し、9月30日までの検査数は447人、ちなみにそのうち陽性者数は23人という事です。
●重点医療機関として公表された後、速やかに一般病棟は一時停止し、結核患者の方は、他の病院に転院を図り、7日にはコロナ受入れの体制を整えました。
個室含め60床のうち、コロナ受入れのために40床を確保。残り20床は休床です。
ハイリスク患者(陽性者)33床、ローリスク患者(疑似症)7床に振り分け。ハイリスク病室は陰圧室になっています。
●その後、6月3日には手術を再開。一般病棟の入院も再開し、通常は病床稼働率80%のところ、その6~7割ですが、利用されています。
外来は開けていましたが、受診控えにより、通常一日およそ400人のところ、25%減の300人ほどとのこと。
これらを受け、4月以降の収入は約7億円の減。補助金等はまだ届いていないそうです。
コロナ以前からの厳しさはあり、恒常的な補助が望まれるという事でした。
●こちらは感染症指定病院ではないながら、呼吸器専門であったこと、結核専門病棟を有していたことが、今回コロナ患者受け入れにおいて、以下の特色が発揮されました。
・当初から発熱外来用入り口があり、感染の恐れがある人の動線を分けることが容易。
・トイレを備えた個室がある。
・間質性肺炎への対応はコロナ治療においても有効。
・ステロイド治療の使用経験が蓄積されていた。
・看護業務においても、感染症対応に習熟。
・感染症対応の蓄積があるから、防御対策は厳しく行いつつ、緩められる許容範囲も把握し易かった。
●これらが示すことは、それぞれの分野において専門的な医療機関が大事な役割を果たし得るという事です。
2007年5月に設置された「神奈川県立病院あり方検討委員会」で、一般独立行政法人への移行が示され、組織形態が変わってからも、(この評価はまた別途)「効率性」や「採算性」等の点から、様々な意見が出されていますが、コロナ対応において、重点医療機関としての役割を担っています。
医療機関などは特に、即席で専門家や知見を備えることは不可能です。短期的採算性などに振り回されるべきではありません。
私は、懇談の中で思わず「私たちはラブじゅんこですから」と、私たちはこのセンターを略して、「じゅんこ(JUNKO)」と呼んでいます。
●当初、クルーズ船受入れの頃は、未知の病であっただけに恐怖と闘いながらの治療と看護でしたが、医療者としての誇りに支えられたといいます。その誇りと専門性を最大限尊重し活かせる体制を整えることが、私たちの仕事です。(2020.10.29)