●「学校給食の無償化を求める川崎市民の会」が、「なぜ、今、学校給食無償化?」と題する学習会を実施しました。講師は福島尚子千葉工業大学准教授。「隠れ教育費」という言葉を知ったのは2年前の先生の講演でした。
▲学校給食の平均月額(全国、文部科学省「令和5年度学校給食費調査」)
公立小;4,688円×11カ月=51,568円 公立中;5,367円×11カ月=59,037円・・・食材費高騰により、内容や回数にしわ寄せ
▲完全給食実施率(文部科学省「令和5年度学校給食実施状況等調査」)
公立中学校;千葉県99.4% 東京都99.3% 神奈川県90.4%
▲給食がない場合(文部科学省「令和5年度学校給食実施状況等調査」)
完全給食未提供;公立小84校(5,852人) 公立中264校(101,177人)
▲給食費未納で何が起きるか
*教師・校長が督促事務を負担し、中には未納を自腹で補填している教師・校長も。
*未納分を納入分で穴埋め。保護者間で不公平感。
*不安定な財源で献立作り。未納が増え一品減のメニューも。
▲自治体主導の給食費無償化で何が変わるか
*給食費未納で不安な子を生み出さない
*「食育基本法」が「食の権利」保障としての給食実現の指針となる
*教職員は徴収や督促などの事務負担から解放され、自腹を切る必要もなくなる
*安定した財源で献立を考えられる
▲無償化の今後
*給食の質を担保する行政の役割を再確認する必要
*給食に携わる人々の労働環境改善も同時に(学校栄養職員の各校への配置・調理室へのエアコン設置など)
*自治体の決断や財政力に左右されるのではなく、国も負担する必要がある
▲三党合意(自・公・維/2025.2.25)の積極面
*小学校については「令和8年度」という時限を設けている
*「公立」という限定をしていないので、私立・国立・義務教育学校なども含まれる可能性
▲三党合意の不安点
*中学校については時限が明記されていない
*「地方の実表頭を踏まえ」「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用」の記載があり、実施が地方に委ねられる危険性あり
▲三党合意に欠けている点
*給食の質保障の観点
*完全給食が提供されていない子どもたちの食の保障
*教職員の給食費は「休職指導の経費」として無償化すべき
▲全ての人に権利保障型の無償給食を
トイレや保健室のベッドのように、当たり前に無償で提供できるように
●各自治体に求め実施されてきた中学校含む学校給食、ついで無償化めざす取り組み、これらが「三党合意」をつくり出したと思います。自治体と国のダイナミックな相互作用、これらを促す当事者の運動、鮮やかな見本を見る思いです。
神奈川県議会において、給食問題に限らず知事がよく答弁で用いていた「それは国の仕事です」論が、見事に覆されていると思います。
「国の仕事」を念仏のように繰り返すのではなく、住民にとって必要な事には「分をわきまえず」踏み出す、それが国を動かす大きな力です。政治家の本分でもあります。(2025.6.24)