君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

狙われているのは9条だけではない!自治体も社会保障も |君嶋ちか子|神奈川県会議員

2019年5月22日

●自治体で進行している、自らの役割を投げ出すかのような施策、その背景が見えたような気がしました。
というのは、神奈川県社会保障推進協議会総会での学習会のことです。講師は芝田英昭立教大学コミュニティ福祉学部教授。

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●「自治体戦略2040構想」を中心にご紹介します。
総務省が設けた研究会で1年半かけて作成されました。2040年は、65歳以上の人口が最大になるといわれている年。
そこで主張されている次の2点は、自治体の形骸化と解体を狙っています。
(A)自治体は、もう直接のサービスの提供者ではない。「プラットホームビルダー」(基礎環境整備)の役割に転換を図れと。基盤づくりとコーディネーターとしての役割に限定せよ、という事です。
(B)もう一つは、「フルセット主義を排せよ」という主張です。ひとつの自治体があれもこれもやろうとするな、都市間の連携で機能発揮すればいいと。そして「都市機能の選択と集中」を進め、2040年までには、地方自治体を解体し「圏域行政体」の構築を図るとしています。都道府県と市町村の二層化も排し、「圏域マネジメント」の必要性を掲げています。

●(A)は、指定管理者、地方独立行政法人化、民間委託に通じます。また公の行政措置ではなく私的契約へという流れも加速しています。憲法25条の生存権が保障する範囲は縮小を続けます。
(B)の圏域行政は議会も自治権も持ちません。
これらはいずれも憲法の否定です。条文を変えることなく実質的改憲に等しい構想です。
社会保障の実行は地方自治体が担ってきました。この自治体解体は、地方自治を失わせると同時に、社会保障を危うくします。とんでもない暴論が、日本社会を襲っています。

(A)については、神奈川県でもどんどん指定管理や独法化が進んでいます。これに反対して論陣を張っているのは神奈川県議会では共産党だけ。

●この「2040構想」は、「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」の報告などにも繋がっています。
「実現本部」は、「従来家族や地域が果たしてきた役割の一部を代替するために社会保障が必要になった」としています。
この論を用いれば、「自己責任論」や、「自助・共助」が当たり前となってしまいます。
でも本来、社会保障は、憲法25条が掲げる生存権・生活権を保障することが役割です。憲法11条及び97条は、基本的人権について「侵すことのできない永久の権利」と謳っています。また25条には、「国は…社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国の責任が明記されています。
社会保障は、家庭や地域の役割の代替などではありません。

●この例にみられるように、憲法の形骸化が様々な場面で繰り広げられています。今回の講演で浮き彫りになった自治体と社会保障にかけられている攻撃は、今の私の立場からも切実な課題です。また何れも日本国憲法の輝かしいかつ重要なテーマです。
危機的なのは9条だけではないという事を改めて実感させられます。まさに戦後日本の総決算が行われようとしています。(2019.5.18)

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