●私も実行委員メンバーとなっている「7・25女性の権利デー神奈川アクション」、今年は「メディアと性暴力」を取り上げました。きっかけにはフジテレビの問題があります。
タレントによるフジテレビアナウンサーに対する性暴力、それが偶発的な出来事ではなく、女性アナをタレントなどの接待に使うことが業務上常態化していたという問題です。
ジャーナリストで法政大学の非常勤講師も務める松元ちえさんを講師に招きました。
●驚いたのは、メディア業界でセクハラの被害に遭ったことがあるかとの問いに74%が「はい」と答えていることです。(いつどのように行ったアンケートかは残念ながら確認できなかったのですが)
事例として「ホテルに誘われ性的的関係を強要された」が16%に上ります。加害者としては、取材先・議員・公務員・政治家などが上がっていました。取材の成否を握る人達ですから、ここにマスコミ業界の特殊性があると思います。
長崎事件では女性記者が長崎市原爆被爆対策部長から「取材に来い」と連絡を受け、向かった先で性暴力に遭いました。埼玉では、前埼玉県知事であった上田清司参議院議員の公設秘書から「報道に重要な情報がある」と会食に呼ばれ性的暴行を受けたという事例。性が情報の交換材料となっているのです。
●いずれも裁判では勝利していますが、裁判までたどり着くのは実に大変な事です。メディア業界では、被害を訴えただけでも被害者が辞めさせられるケースが多いそうです。女性が立ち上がるとバッシングという世界です。
これらの背景として松元さんは、次の点を指摘していました。
*男性職場である
*意思決定の場に女性が少ない
*男性の働き方(夜討ち朝駆け)
*ジェンダーや女性の働き方に関わる記事は企画が通りづらい
*記事や番組のコメントは男性専門家によることが多い
●このような業界で被害者を孤立させないことが重要。この点で労働組合が大きな役割を担っていると松元さんは語ります。先の裁判も含め、出版労連、民放労連も支えとなってきました。
講演後、質問や意見のやり取りがありました。
私は今回の参政党による神奈川新聞石橋記者排除の問題について、「かつて望月記者に対して当時の菅官房長官が回答拒否を続けた。これに対し他社も連帯して抗議してほしかったと当時思った。今回の参加拒否に対して他のジャーナリストはどんな態度だったのか」と問いました。今回もその場では抗議できなかったが、直後の新聞労連定期大会では「参政党による神奈川新聞記者に対する記者会見排除に抗議する」との特別決議を採択し、その後琉球新聞・沖縄タイムス・東京新聞・TBS「報道特集」などで批判的に取り上げるようになったとのこと。
●松元さんは、そもそも記者クラブ制度が問題と。情報の統制の場となり報道の自由を侵害していると。納得するまで質問を繰り返すのが、読者に対する責任であるにも拘らず、それを困難にしています。
メディアの役割は、第一に権力の監視と批判、第二に市民のより良い暮らしのために情報を発信すること。他の産業との違いはここだと思います。社会に大きな影響を与えます。メディア労働者の安全と健康はもとより、性暴力ゼロ含め業界が健全でなければ、これらの責任は果たせません。(2025.7.25)