●また第三水曜日が巡ってきました。この日は激しい風と雨、手が凍えるような気温、「この行動の日は悪天候が多いなあ」と思いながら。
県庁前宣伝の後、知事室の担当者と「性暴力を許さない社会をめざす要望書」について懇談しました。
知事室として勉強をしてから担当局に割り振るということで時間を要しました。要望書の内容は以下の通りです。
要望1。AVにより生じている人権侵害に歯止めをかけるため、以下の項目に沿った「包括的ポルノ被害防止法」の制定を求める意見書を、国に提出すること。
①制作段階においては
・実際の性交を禁止すること。
・生命・身体に重大な危険を及ぼす行為を禁止すること。
・心身の安全・健康に悪影響を及ぼす行為を禁止すること。
②流通段階においては
・出演者の権利侵害を伴うAVについては、販売差し止め、ネットからの削除義務を課すこと。
③消費段階においては
・AV視聴及び模倣行為の強要は、強要罪、強制性交・強制わいせつ罪に当たることを明記すること。
・特定のAV視聴後に、AV内で行われていた社会的に許容しがたい特殊な性行為や虐待行為を強要された場合、AVメーカーの「製造物責任」を問える内容とすること。
要望2。いわゆる「成人誌」について、次の対応を図ること。
①コンビニ等公共空間類似の場所においては、ゾーニングが徹底されるよう立ち入り検査等を強化すること。権限を委譲している政令市等に対しても同様の強化を促すこと。
②女性への人権侵害を防止するという観点からも、成人誌などの陳列には配慮が求められる。青少年保護育成条例だけではなく、女性行政にも位置付けること。
要望3。性暴力被害について、「かならいん」の取り組みをはじめとし神奈川県として把握している実態を踏まえ、性暴力被害者への支援等を強めること。
要望4。2009年にユネスコがまとめた「国際セクシュアリテイ教育ガイダンス」に示された内容を保障する「包括的性教育推進法」の制定を国に求めること。同時に神奈川県において包括的性教育の一層の拡充を図ること。
要望5。女性差別撤廃条約に関する「一般勧告第19号女性に対する暴力(第11回会期、1992年)」についての知事の見解を、明らかにすること。
●これについて回答は、一般的な言葉にとどまり具体性に乏しく、また要望に対応する答えが全くない項目もあり、改めて以下の確認と要望を示しました。
要望1。の主旨 「包括的ポルノ被害防止法」の制定を求める意見書を国に提出すること
回答の主な問題点:現在の支援体制の説明にとどまり、意見書に対する見解は全く示されていない。県の見解を明らかにすること。
要望2。①の主旨 成人誌について ①ゾーニングの徹底を図ること
回答の主な問題点:具体性に乏しい。立ち入り調査について、必要性の判断基準・回数・内容 を具体的に明らかにし、必要な強化策を図ること。
要望2。②の主旨 成人誌について ②女性行政においても成人誌への対応を位置づけること
回答の主な問題点:女性行政に位置付けることを求めているのに、それについての言及がない。「成人誌」の露骨な描写・写真などは、青少年を害するだけではなく、女性を性的な対象としてのみ捉える忍識や風潮を助長している。これらは女性の人権を無視し、性暴力やセクシャルハラスメントを許容する社会にも繋がっている。よって女性行政にも位置付けることについての見解を示すこと。
要望3。の主旨 性暴力被害への支援等を強めること
回答の主な問題点:支援体制の現状を一般的に述べるにとどまっている。支援件数・支援内容・支援上の問題点などを明らかにし、これらを踏まえ今後強化する点を示すこと。
要望4。の主旨 「包括的性教育推進法」の制定を国に求めること また県の包括的性教育の拡充を図ること
回答の主な問題点: 「包括的性教育推進法」制定について全く言及がない。国に「包括的性教育推進法」制定を求めることについて県の見解を明らかにすること。
要望5.の主旨 差別撤廃条約に関する「一般勧告第19号女性に対する暴力(第11回会期・1992年)」についての知事の見解を明らかにすること
回答の主な問題点:一般勧告第19号は、女性に対するあらゆる形態の暴力を撤廃するための積極的な措置を求めている。対して、神奈川県の現状は、「暴力の撤廃」については極めて弱い。勧告の趣旨に沿い、暴力の撤廃に向けた措置の促進について、知事の認識を明らかにし、「暴力の撤廃」に向けた具体策を示すこと。
●これらの確認点を踏まえた回答を期待したのですが、この日の回答も同様の限界を抱え、神奈川県の現状を露呈しました。
会としては、諦めずまた別のアプローチを行いたいと思っています。(2025.3.19)