●青年法律家協会神奈川支部主催で、映画「パレードへようこそ」が上映されました。
私は「炭鉱夫のストライキ」という言葉に惹かれて、参加。
●2014年の作品で、サッチャー政権下のイギリスが舞台。炭鉱閉鎖に抗議しストライキ決行中の炭鉱夫たち。
1984年、その炭鉱夫支援に立ち上がるロンドンの同性愛者の会LGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)の姿を描いています。実在した人たちがモデルです。
LGSMは炭鉱夫の窮状を知り、募金活動に立ち上がります。リーダーのマークは「炭鉱夫の敵はサッチャーと警察、それなら自分たちと同じだ」と、仲間に呼びかけます。
そのお金を勇んで届けようとしますが、炭鉱夫たちはスムーズにそれを受け入れません。性的少数者たちへの偏見からです。「気持ちが悪い」とか「町に悪影響がある」とか。キリスト教には、同性愛は犯罪とされていた歴史があります。
様々な軋轢はありますが、彼らは虐げられた者同士として、連帯をしていきます。ストライキ支援を受けた炭鉱労働者たちは、その後、性的少数者たちのパレードに参加します。互いの連帯の象徴的場面は、人間の尊厳を示して美しかった…同席したF弁護士も「泣けちゃったよ」と。
●重要産業の国有化と社会保障制度による福祉国家を担ってきたイギリス。石炭産業も第二次世界大戦後国営化してきました。
ところがサッチャー政権は、不況の中「小さな政府」を掲げ、石炭産業の民営化を打ち出し、同時に炭鉱20か所の閉鎖を計画しました。
それに反対する炭鉱夫たち、でもストライキは1985年3月3日の中止決定により終了となり、それに伴い多くの炭鉱が閉鎖されました。
●エイズも不治の病とされていたこの頃、リーダーだったマークは26歳で、エイズにより人生を断たれました。彼は映画の中で「人生は短いんだ、本当に短いんだ」と図らずも語っていましたが。
原題は「Pride」。「Have some pride. Life is short(誇りを持とう、人生は短いのだから)」というセリフがありました。共感します!
「自分の知らないところで自分を応援してくれる友がいることを知るのは最高の気分です」。これは、LGSMの支援を受け入れるきっかけをつくった炭鉱労働組合のダイの言葉。
この言葉もよく解ります。応援がどれだけ人を励ますか、私も度々実感しています。数の上では少数者といえる共産党への応援は、例えば宣伝中の一言「頑張ってね」だけで、私がどんなに元気づけられることか。
闘いが必要な者同士が連帯をする、この人間的行為を素敵な音楽とともに、また軽妙な演技とともに謳いあげてくれた映画でした。 (2024.2.13)