●第三定例会閉会日。日本共産党は反対討論とし、以下の内容で私が行いました。
補正予算案含む知事提出議案31件について、日本共産党県議団は、一件を除いて賛成しました。
その一件は、「地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所定款の変更について」です。変更内容は、成果活用事業所の株式や新株予約権を取得・保持できるようにするというものです。その目的は、当該事業所の立上げ時等財政困難な時期の支援とされています。
●常任委員会の質問で明らかになりましたが、財政的支援という想定は矛盾しています。「損失を生じることはない」と断言するので、その理由を聞いたところ、「株式を取得するのは、上場企業になってからであり、それをすぐ売却するので」と答弁しています。
私が「それなら、立ち上げの困難な時期に支えるという目的と矛盾するのではないか」と問うと、明確な答えはありません。
この有効な支援策たりえず、矛盾した想定という事が反対する理由の一つ。
もう一つの反対の理由が、開発研究・技術的支援を行う公的研究機関のあり方として危惧されるという点です。特定の企業の株を保有する、売却益も予想できるという事になれば、利益が優先されることにもなりかねません。
同研究所は、当初の目的である技術的支援に徹して、財政的支援は、融資含めた産業支援策に委ねるべきです。
●委員会審査結果に反対したのは、「不採択」とした3つの請願に対しても同様です。二件の「格差をなくし、ゆきとどいた教育を求める請願」(正式名称ではなくこの趣旨)が提出されています。
具体的項目として、県の教育予算増、正規教員の大幅増、保護者負担の軽減、私学助成の拡充、少人数学級の実現、公立全日制高校の定員増、県立高校の統廃合をやめることなどが盛り込まれています。
これらは、いずれも教育環境を整えるための切実な願いです。経済力によって教育格差を生じさせないというのは誰しもが願う事ではないでしょうか。コロナ禍の下で、この願いは一層疎外される状況になっています。文教常任委員会・厚生常任委員会で不採択とされていますが、採択されるべきです。
●「県の小児医療費助成制度の拡充についての請願」は、現在小学校入学前で止まっている県の助成対象を広げることを求めています。全国の3割の都府県が小学校卒業もしくは中学校卒業まで助成を広げています。
県内でも、31市町村が自主財源で中学校卒業以上の通院費補助を行っています。県が補助対象を広げることは、これらの市町村を励まし、対象枠を広げる事を可能とします。
厚生常任委員会で不採択となっていますが、子どもの貧困は社会問題ともなっています。今こそこの請願は採択されるべきです。
「教育環境の整備とともに、次世代を担う子どもたちに健やかな未来を手渡したいと、多くの人がこの希望ある施策を求めています」と討論を結びました。
でも本会議においても、共産党を除くすべての会派(一部の請願には一人会派の方も採択へ)が不採択の態度。
またさらに呆れたのは、意見書案に対する態度。共産党提案の「核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書案」、これは人間なら率直に賛成できると思うのですが、裁決で賛成したのは、共産党と一人会派の二人の方のみ。他の全ての会派が反対だったのは、本当に解せません。呆れるやら、怒りを覚えるやら。
●コロナ禍を駆けた今年の議会は閉会になりました。でもまだまだ取り組みは続きます。(2020.12.17)