●平塚保健福祉事務所で、コロナ対応に追われる現場のお話を聞きました。現場が大変な時に伺うことを心苦しく思いながらも、実態をお聞きし事態の改善に生かしたく、短時間お邪魔しました。
この事務所の管轄は、分野によって異なります。この煩雑さも負担だなと思いながらお話を伺いました。
●新型コロナウイルス感染症に関わる管轄は、平塚市・秦野市・伊勢原市・大磯町・二宮町です。この管内での発生状況は4月8日現在で31名。
2月10日から「帰国者・接触者相談センター」を設置しました。ここでは、相談者の状況により、帰国者・接触者外来、或いは一般医療機関に繋げます。それらの必要がない助言のみの方もいます。
帰国者・接触者外来を案内した場合は、医師の判断により検査を行うこととなります。報道などで問題とされた医師の判断が、さらに相談センターの判断により覆されるというケースは、神奈川では生じない仕組みになっているという事です。
●相談件数は、2月(10日~29日)=356件、3月=1169件、4月(1日~7日)=625件と増え続けています。
帰国者・接触者外来紹介に至ったのが、2月4件、3月44件、4月37件です。4月は1週間だけでこの数字です。
●保健師はこのセンター相談と格闘しながら、検査結果が陽性となれば、積極的疫学調査を行います。患者さんの行動を追跡し、感染源の確定、濃厚接触者の把握と適切な管理を行い、感染の拡大防止に努めることが、調査の目的です。この調査を的確に行うことは、予防のためのカギを握ります。
また、外来で行った検査の検体を衛生研究所に運ぶのも、保健所の仕事です。
●これら急増した業務の為に、啓発など比較的緊急性の低い仕事を一時ストップしながら、担当を超えて事態に当たっているということですが、皆さんの疲労度は高まっています。
疫学調査は、防護服等の装備を必要としますが、その着脱を含め、訪問しながらの調査は、大きな緊張を強いられます。
●深刻なのは、保健師さんの増員を図りたくてもすぐにはそれが叶わない事です。絶対数が足りておらず、取り合いのような状態になっているといいます。養成から考えなければいけない状態です。
広く募れば解決できると言う訳にはいかない専門職の養成、現場への確保がいよいよ切実です。
保健師さんの仕事とともに、事務量も増えているとのこと。相談センターの設置に伴い記録・集計・報告も増えています。これらへの対応として事務職の増員が考えられないでしょうか。
●保健所数が日本においては大きく減らされてきました。例えば1992年に全国852ヶ所でしたが、2019年には472ヶ所となっています。
公衆衛生の必要性は決して減じているとは思えません。グローバル化が掲げられる中で、今回のように感染症対策は必須です。感染症以外にも、環境汚染、食の安全など、新たな脅威もあります。
医療体制とともに公衆衛生対策の強化は、命をめぐり切実です。
積極的疫学調査が、感染者拡大の中で対応できるのかと質問したところ、一定数を超えれば対応不可、さらに対応しても意味のないレベルに達する事態もあり得るとのこと。この恐ろしい事態に至らせないために、各分野での必死の取り組みが進められています。(2020.4.9)