●障害者雇用率の不正は、中央省庁においては33機関中27機関において行われ、障がい者雇用約6900人の内、半数以上の3460人が計上すべき対象ではなかったことが発表されました。
自治体においても、37府県に水増しがあったことが判明しています。
●私は早速神奈川県の実態を確認しました。
議会局と企業庁には問題がありませんでしたが、それ以外の知事部局・教育委員会・警察においては、それぞれ12名・132名・20名が不適切な数字でした。
これらがなぜ起きたかという点では、本人の確認や同意を得ず、周囲の判断や人事記録などから一方的に計上したものが殆どでした。その中には障がい者手帳相当ではない軽微なものもありました。
●これらは、採用時に障がい者雇用を明示しながら行うケースでは起きるはずもなく、既に雇用され、支障なく仕事をしている職員について数合わせに使ったというそしりを免れません。
でも法定雇用率制度の要は、今仕事を探している障害のある方にどれだけ雇用の場を確保できるかです。
●私は職業安定所在籍時、雇用率指導の仕事にも従事していました。事業所を回りながら、どうしたら障害に合わせた働く場を確保できるか、企業の方と頭をひねりました。それは役割分担の工夫であったり、トイレやスロープの環境整備であったりします。
人間にとって、生活の糧を得る事は大事な要素だと思っていましたから、必死でした。
今回の不正は、そんな現場の努力に冷水を浴びせられたような気がしました。旗振り役の厚生労働省にまで、3.5人という小さい数字とは言え水増しがあったことには、がっくり!「これじゃ、民間に雇用率指導などできないよ」という感じでした。
●そんな中で、県・労働局等が主催の「進めよう障がい者雇用!」というフォーラムに参加しました。
基調講演は毎日新聞論説委員野澤和弘氏。その後の雇用事例の発表とパネラーを務めたのは、リゾートトラスト(株)東京事務支援センター長北沢健氏、(株)シティコミュニケーションズ人事部課長下風能太郎氏でした。パネリストには、(社福)藤沢ひまわり総合施設長船山敏一氏も加わりました。
全体を通して、障害のある方の実態をよく知り、また先例をよく学び、いかに能力を活かすかという事に心を砕いていました。
●これらの結果、多分社内の人間関係も良好だろうと思われました。そのひとつの証左として、会社の旅行に障害のある方のおばあちゃんも参加し、「とても幸せ」という感想を述べていたことが紹介されました。
また社内の仕事の進め方も合理的になるだろうと思われました。
障がい者雇用を通じて、企業や社会は多くを学ぶという事を実感させられました。
雇用率不正などに揺れることのない健全な実態がそこにはありました。
省庁の担当者もこのような場に参加し、学ぶべきです。(2018.9.5)