2月25日「平和で明るい神奈川県政をつくる会」の主催で、県予算案の学習会を行いました。講師は県民連絡会事務局長の神田敏史さんと日本共産党神奈川県議団の井坂議員。
1「財源不足」はどう解消したか
▲好調な企業業績、個人所得の増加、消費税の伸び、定額減税がないことなどから、県税収入は過去最高に(1兆4534億01百万円)。
▲2023年度決算における将来負担比率(一般会計等の将来返済しなければならない負債の標準財政規模に対する割合。将来財政を圧迫する度合いを示す)は全国148.7のところ神奈川県は64.0。東京・沖縄に次ぐ3番目に低い自治体。極めて良好な財政運営。
▲2025年度当初予算段階における決算時見込みの財政調整基金は700億円。
2 事業の見直しについて
▲業務の見直し等について、「知事提案だからと言って遠慮しなくてよい」と職員に言っていると知事は自己PR。(自分はそれほど器が大きいと)
見直し・廃止の対象の一部は、①マイME-BYOカルテ ②マグカル解放区 ③海外チャレンジプログラム などがあり、いずれも県民の福祉向上というよりは知事の好みによって位置付けられたものであり、この間の職員の方のご苦労が思い浮かびます。
▲県の働き方・行政改革本部による「事務事業の見直し」
「神奈川なでしこブランドの廃止」「SDGsパートナーミーティングの運営を民間委託」など合計147件の見直し。民間委託によるものも多いようです。
「各種要望関係の見直し」という項目は、「省力化を図れないか検討していく」とされています。これは、従来県民要求についての話し合いの場がありましたが、文書回答のみにしたいと県当局からの申し出があり、これに対して従来の場を確保するよう求めている件です。行政の要ともいうべき県民の声を生で聞ける場を、単なる事務の簡素化の対象としてとらえていることは大きな問題です。
▲今回の見直し後も残り継続する事業の中には、首をかしげるものも少なくありません。その一つは、GREEN EXPO2027(国際園芸博覧会)の取り組みです。
オリジナルミュージカルの上演に向けた準備、博覧会開催準備体制強化のために職員13名増員などが計画されています。
3 県民要求は実現したか
▲行政体制
知事部局88名増、教育委員会・議会局などと合わせると119名の増員で昨年度に次ぐ大幅増。
▲防災
*住宅耐震化の推進。
*防災ヘリコプター・災害用トイレカー整備事業(4億2000万円)。
*避難所指定された県立高校3校の体育館への空調整備(5720万円)。
*盛土規制法施行に伴う体制強化のため12名増員。
▲教育・文化・スポーツ
*不登校でフリースクールに通う子どもの保護者を支援(3120万円)。
*私立高校授業料無償化の対象を、世帯収入700万円未満世帯から750万円未満世帯(多子世帯は910万円未満)に引き上げる。
*特別支援学校の看護師の増員。
▲社会福祉
*児童相談所一時保護所の整備、職員の配置基準の見直しなど。
*精神保健福祉業務の体制強化。
*中井やまゆり園でグループホームの整備、今後の方向性は未定。一方中井やまゆり園については独法化の制度設計の予算も組まれている。
*保健福祉大学において、給付型奨学金制度を新設。
▲住宅・まちづくり
*「住宅耐震化の推進」予算新設。
▲保健・医療・介護
*県の病院機構に対する負担金が約10億円増加(106億2844万円)。
▲環境
*脱炭素社会に向けた取り組みとして179億7557万円、前年度比で28.42%の増。
*電気自動車(EV)導入や燃料電池自動車(FCV)普及のための水素ステーション整備運営補助に10憶3704万円。(日産対策かとの声もあり)
▲労働
無関心ぶりが露呈。賃金引き上げが重要課題であるにも拘らず最賃引き上げなどについても県として無策。(2025.2.25)