●「かながわ総研」の主催で25年度政府予算案を分析しました。講師は、日本共産党政策委員会の垣内亮氏。
まず4つの特徴。
1;異常な軍事費突出
2;膨らむ大企業へのばらまき
3;暮らしには冷たく
4;財政危機はますます深刻に
● 異常な軍事費突出
*軍事費は9.5%増、一方社会保障費や文教費は1.5%増・1.4%増で、前年度物価上昇率2.7%を下回り実質マイナス。
*異常な軍事費突出は3年連続。3年間で1.6倍(満州事変前後1.4倍を上回る)。
*重点は敵基地攻撃能力の保有。
*実は5年間で43兆円を超える!(米軍再編経費・SACOなどは43兆円の別枠)
*契約ベースでは50兆円超。
*さらなる防衛力強化を対米約束。
● 大軍拡暮らしへの影響
*年間1兆円超の軍拡増税。
*暮らしの予算削減(「歳出改革」と称して毎年2000億円)。
*暮らしの財源を軍拡に流用(決算剰余金を軍事費に充当、特別会計からの繰入金や国有財産の売却収益を軍事費に充当)。
*建設国債を軍事費に充当(軍事費には国債を充てないという50年来の政府方針を転換)。
*「軍事国債」は4年間で3兆円にも。
● 軍拡で儲けるのは誰? ・・・膨らむ大企業へのばらまき
*大軍拡が始まった23年度は、中央調達額は前年度3倍以上(4兆2050億円)に。
*トップの三菱重工業は4.6倍(1兆6803億円)に急増。
*1兆6803億円は中小企業対策費の約10倍。
*AI・半導体産業に10兆円(ラピダス1社に1.3兆円)。
*大企業減税は2011年以降で11兆円にも及んでいる。
● 暮らしは ・・・暮らしには冷たく
*物価高騰はさらに深刻に(上昇率4%)。
*実質賃金は3年連続でマイナス。
*社会保障自然増1300億円圧縮。
*患者の命奪う高額療養費の自己負担増。(注;本案は3月7日に凍結を表明石破首相)
*国保料値上げ自治体数は677で最多に。
*25年度年金は実質マイナス0.8%、12年間で8%の目減り。
*厚生年金の積立金は23年分も(こんなに要らない! 保険料に回せ!)。
*訪問介護の基本報酬を引き下げ ⇒ 進む介護崩壊、訪問介護事業所ゼロ自治体107か所に。
*神奈川の訪問介護ゼロ事業所自治体は、真鶴町・山北町・清川村。
*軍事費が2005年から教育費を超えるようになり、今や軍事費8兆7千億円に対し、文教費5兆4千億円。
*所得が1億円を超えると所得税の実効税率が下がる「1億円の壁」は温存。
*株高で富裕層は急増。
● 国債増発でいいのか ・・・財政危機はますます深刻に
*国債の利払い費が財政を圧迫。
*国債増発論問題点。
・インフレで暮らしが破綻(通貨価値の下落と物価上昇)
・利払いで所得の逆分配(大銀行の利益は預金者ではなく株主である富裕層や大企業に)
・大軍拡助長
●「軍拡やめて暮しに回せ」が結論
☆軍拡と暮らしの関係が、とても分かり易い実態として横たわっています。それだけ矛盾も激しくなっています。
付随して調べたところ、防衛省の武器調達(23年度)において、三菱重工が前年度比4.6倍の1兆6803億円で、米国(前年度比3.7倍 1兆3686億円)を上回っていることを知りました。
アメリカの軍事産業や爆買いに気を取られることが多かったのですが、日本の軍事産業がこんなに伸びていることに驚きました。国内における調達額は4兆2050億円、アメリカの約3倍にもなっているのです。(2025.2.28)