●また第三水曜日が巡ってきました。
私は、1月の定例宣伝で中居氏問題と対比させて黒岩氏の問題を取り上げました。「中井氏問題で問われる性暴力と黒岩氏の11年間は、愛情とは程遠い世界で女性を性欲のはけ口として扱い、結果的に女性を傷つけている点で同質ではないか」と述べ、「中居氏は仕事を失った状態なのに、黒岩氏はなぜ平然と知事室にいるのか」と投げかけました。
その事態は変わらず続き、2月もやはりそこがポイントと思いましたから、同趣旨の発言をしました。
この日もすごい風、横断幕なども煽られやっと支えている状態。
●黒岩氏の11年から言えることは、女性に対等な人間としての敬意を持っていないということです。(何度も指摘してきましたが、卑猥な500通ものメール、女性にAVを買わせ続け、買えない時には「わざわざ来てやったのに、なぜ買ってないんだよ!」と怒鳴りつけ、選挙に不都合と判断し別れる際には「遊びだったんだよ!」と声を荒げるなどの場面がそれを物語っています)
●元フジテレビキャスターの黒岩氏は、中居氏問題に関わるフジテレビの対応について「(自分は)どっかの企業が不祥事を起こしたときは真っ先に記者会見をやってくれと迫っていた方でした」、最初の閉じられた会見について「信じられない」などと批判。これらについては一斉に「どの口が言うか」といった類の批判の声が上がりました。
自らの恥ずべき行為は全く無関係と思っているのでしょうか。
●黒岩氏の問題通じてジェンダーや人権について学ぶ機会も増えましたが、改めて実感するのは、女性差別や女性蔑視は女性だけの問題ではないということです。
女性アナウンサーに接待などを行わせていた職場は、様々な不条理に覆われていたのではないでしょうか。フジテレビが今回の問題を機に80人であった組合員が一気に500人以上に増加したという状況は、それを示唆してはいないでしょうか。
●黒岩氏に関していえば、私は印象に残る二つの場面が浮かびます。
一つは、2018年、日本共産党の藤井議員に対し、「質問しろよー!」「逃げるのかよー!」「卑怯者!」と議場で大声をあげたことです。
議員が再質問するかしないかは議員の裁量です。藤井議員は自らの意見を述べて質問を終えました。多分氏が得意げに展開しようと思っていた分野(ヘルスケアニューフロンティアなど)を語れなかったのが腹立たしかったのでしょうが、あまりに立場と場をわきまえない行動は、氏の粗暴性と幼児性の結果だと思います。自らの思い通りにならないと怒り散らすという行為は、周囲の人間や人権への配慮と真逆です。
二つ目は、2016年11月14日37歳の県庁職員が過労自殺に至った件です。遺族が2019年11月13日に裁判提訴をするまでこの死はひた隠しにされていました。
知事室配属であったこの職員は、「広報戦略を柱に知事の思いを実現する」という知事の特命を受けた上司の怒鳴り声の中で長時間労働に耐えていました。「広報戦略」とか「知事の思い」に関わる企画は罵声を浴びながら突き返されていたといいますが、そもそも「知事の思い」を広報するために職員をここまで動員することが許されるでしょうか。知事に端を発したパワハラ・長時間労働で職員は命を失いました。
遺族が初めて知事室を訪れたとき、黒岩氏が発した言葉は謝罪ではなく「一緒に写真を撮りましょう」だったとお母さんからお聞きしました。お母さんもその言葉に驚いたと語っていましたが、引き起こした事故の重大性や遺族の悲しみに思いをいたすことができない氏の人権感覚が現れています。
女性差別や女性蔑視は、別の関係性においても人権尊重とは程遠い世界をつくり出すのではないかと実感しています。(2025.2.19)