●代表質問の続きです。項目すべてではなく一部です。かつ意を損ねない範囲で簡略化しています。
●【PFAS(有機フッ素化合物)について】
井坂;2020年に政府がPFASの暫定目標値を1リットル当たり50ng(ナノグラム)と定めた以後、県の河川調査で、暫定目標値を超えるPFASが検出され、沖縄県嘉手納基地周辺でも高濃度のPFASが検出されています。
わが団としても昨年以来、原因究明を求めてきましたが、5月に米海軍横須賀基地で高濃度PFASの流出、9月には米海軍厚木基地でも流出と続きました。基地関係県市連絡協議会がこの問題について2回の要請を政府に提出し、本議会でも10月に国に対して意見書を提出しました。その後、厚木基地では10月、12月に2回、横須賀基地では12月に立ち入り調査が行われました。
立ち入り調査は、これまでになかったことであり、県の努力は受け止めています。しかし、米軍による制限を受け、流出の範囲や程度、流出原因の特定につながるような調査は行われてはいません。
原因究明と被害状況の調査を引き続き行う必要があると思いますが、見解を伺います。
また、立ち入り調査実施の評価と今後の課題について見解を伺います。
さらに、改善のためには環境補足協定の見直しとともに日米地位協定改定の必要があると思いますが、見解を伺います。
知事;PFAS等の米軍基地からの流出事故については、原因究明と再発防止等を図ることが重要です。このうち基地内の原因調査は日米両国政府の責任において行うべきであり、流出原因が不明の横須賀基地について基地関係県市連絡協議会において早急な原因究明等を国に求めています。基地の外の調査については河川に放流している厚木基地下流の水質に流出の影響がないことを県が確認しています。 土壌調査等は測定法を国が検討中であり情報収集していきます。
井坂;水源地での暫定目標値を超えている状況や2007年の県内河川での調査では、暫定目標値を超えるPFASが検出されており、その影響調査は重要です。嘉手納基地や横田基地の周辺住民の血中に含まれるPFASが多くなっているとの調査結果もあります。
座間市では水路調査を行うとのこと、県は座間市と連携して、暫定目標値を超えていた引地川水系や鳩川水系周辺の土壌調査の必要があると思います。
PFASの暫定目標値を超えた原因究明とともに、河川周辺の土壌調査や住民の人体への影響調査を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
知事;調整池での採水が認められ、米軍から事故原因の説明が行われたことは評価します。一方で環境補足協定では結果の公表に米側の了解が必要であり、10月実施の採水調査結果の早急な公表を働きかけていきます。日米地位協定に環境に関する規定がなく基地内の環境管理が米側の裁量に委ねられていると言う課題があります。このため日米地位協定を改定し我が国の環境法令を米軍に適用できるよう国に働きかけていきます。
暫定目標値を超えた地域での原因究明については 継続的に目標値を超えている引地川で現在調査を行っています。
PFAS等について、水質は暫定目標値が設定されているのに対し、土壌については濃度を把握するための測定法について国の目標値もありません。人体への影響についても国際的な統一 見解がなく、国が毒性情報の収集等を進めています。国が先月検討会を立ち上げたことから、県はその検討状況を注視するとともに河川水等の調査に 引き続き取り組みます。県は今後も水質の暫定目標値を超えた地域について継続的に監視等を行い、結果公表はじめ県民の皆様に安心していただけるような情報発信に努めます。
●【気候危機対策について】
井坂;県として地球温暖化対策に積極的に取り組む姿勢が見られますが、2050年温室効果ガス実質排出ゼロを達成するには、不十分です。
現在、再生可能エネルギーの普及として、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進、自家消費型太陽光発電等導入費補助などを行い、省エネ対策としては、既存住宅省エネ改修費補助や今年度から始まった中小規模事業者省エネルギー設備導入支援補助があります。2023年度予算ではどのような考え方で拡充を行ったのか、見解を伺います。
知事;県の役割として県民や企業などの取り組みの後押しや県庁の率先実行に取り組むこととし、令和5年度当初予算案では前年度から約27億円増となる約62億円を計上しました。事業所向けの自家消費型再エネ導入補助を約3倍、住宅の省エネ改修補助を20倍、県有施設への太陽光発電の導入も約18倍にするなど予算額を大幅に拡充しています。また取り組みの継続的な実施のため必要な資金を気候変動対策基金に積み立てています。
【太陽光パネル設置の促進について】
井坂;県有施設への太陽光パネル設置の促進については、わが団としても取り上げてきました。2023年度予算では、県有施設の太陽光パネル設置促進に取り組むとし、2040年度までに可能施設において100%設置を目指すとのことです。私も昨年の代表質問で県営住宅をはじめとした県有施設への太陽光パネル設置の促進を求めてきました。県有施設への太陽光パネル設置の具体的な計画を伺います。
知事;県は太陽光発電設置可能な県有施設について2030年度までに50%、2040年度までに 100%設置を目標に掲げ、来年度中に具体的な設置箇所やスケジュール等を定めた整備計画を策定したいと考えています。なお脱炭素は喫緊の課題であることから令和5年度は10億円の予算を計上し、速やかに設置を進めたいと考えています。
【住宅への太陽光パネル設置の促進について】
井坂;東京都がハウスメーカーなどに新築住宅への太陽光パネル設置を義務化すると発表し、川崎市でも延べ床面積2000㎡未満の中小規模の建物の新築時には、太陽光パネルの設置を約20社のハウスメーカーに義務付け、2000㎡以上の新増築についても再生可能エネルギー設備の設置を建築主に義務付ける方向性が示されています。
県としても、同様の検討が必要と思いますが、見解を伺います。その際補助制度をつくる必要があると思いますが、見解を伺います。
既存住宅などに対するゼロ円ソーラーや共同購入事業などとともに、住宅への太陽光発電設置時の補助制度など、更なる取組が必要と思いますが、見解を伺います。
知事;太陽光発電の導入促進のためには、自ら率先して設置していただくことが重要であり、設置を義務化する考えはありません。令和5年度は太陽光発電をPRするための説明会を新たに実施します。また初期費用の負担なしで設置できるゼロ円ソーラー補助の事業費を約2倍にするとともにZEH導入補助の補助単価を大幅に引き上げます。市場価格より安い費用で購入できる共同購入事業を引き続き実施します。脱炭素社会の実現に向けて住宅への太陽光発電のさらなる導入促進を図って参ります。
●いずれのテーマも共産党県議団が粘り強く取り上げている課題です。一定の誠意が見られます。「住宅の省エネ改修補助を20倍、県有施設への太陽光発電の導入も約18倍にするなど予算額を大幅に拡充しています」などはその成果といえます。引き続きですね。(2023.2.17)