日本共産党川崎市議団主催で大門実紀史さんの講演が行われました。
●冒頭語られたのは、働き盛りの男性は、「成長」や「改革」に惹かれる、さらに自民党の「改革」では遅いと感じた若い人達や企業家は維新に投票しているという分析です。
本田由紀さんは志位委員長との対談の中で「野党は『守る』という言葉が多い」と指摘しています。「守り」は「成長や改革」の反対語ととらえられがちであるとも。
●ここから大門さんは、共産党が弱者を守ることは当然だけれど、「守りの経済学」だけではなく、「未来志向の成長戦略」も必要と強調します。その思いは「やさしく強い経済」に結びつきます。
具体的には「賃金を引き上げ、社会保障を立て直す」「応能負担の税制をとり戻す」これらによって「内需を活性化し、投資を呼び込む」これが経済成長につながるということです。気候危機打開とジェンダー平等も経済成長のカギとなります。
人を大事にする優しい経済こそ、本当の意味で強い経済であり、国民本位の経済成長であると。同感です!
●大門さんは、初めて国会議員になった2001年以来、一貫して新自由主義と対決する国会論戦を展開してきました。小泉政権の誕生が2001年4月ですから、まさに小泉・竹中構造改革と勝負してきたわけです。
当時は「構造改革」を支持する声が圧倒的でした。そんな中で日本共産党は、構造改革の本質を突き、非正規雇用の実態などを示しながら、新自由主義の弊害を明らかにしてきました。その先頭に大門さんはいました。
その後マスコミも新自由主義の弊害を指摘するようになりましたが、安倍政権の下でアベノミクスという名を騙りながら引き継がれ、この間20年以上に及び、格差は拡大、経済は疲弊してきました。
経済成長率は低迷し、「賃金が上がらない国」になっています。
●これを打開していくのが「やさしく強い経済」、その一つ内部留保課税を大門さんは提案しました。
*課税対象=資本金10億円以上の大企業
*課税標準=【2020年度と2012年度の内部留保の差額】と【同期間の設備投資等の差額】の差額(ただし、賃上げやグリーン投資に用いた金額は控除)
*税率=2%
*課税期間=5年間
*使途=毎年約2兆円、5年間で10兆円程度となる財源を最低賃金引き上げのための中小企業支援に使います。
●また気候危機打開も成長のカギとなります。2010年までに再エネで電力の44%を賄うエネルギー転換を行えば=投資額約202兆円、GDP約205兆円、雇用創出年間254万人、化石燃料の輸入削減額約52兆円
ジェンダーギャップ指数世界第一位のアイスランドなどが実証しているように、ジェンダー平等が進んだ国ほど一人当たりGDPが高いという図も示されました。
●これら「やさしく強い経済」を学びましたが、「異次元金融緩和と円安・アベノミクス」についても。
*「異次元金融緩和」=日銀が金融機関から大量に国債を購入
*大量に供給されたお金(円)は株式市場に➡ 株価つり上げ➡ 大企業と大株主は大きな利益
*円が増える➡ 円の価値が下がる➡ 円安➡ 円売り・ドル買い➡ 円安・ドル高
*輸入品の値上がり・輸出大企業は大儲け
これはもちろん、現在の異常な物価高につながっています。
●最後にインボイスです。
*消費税額=売り上げにかかる消費税-仕入れ等にかかる消費税
*現在はこれを帳簿方式により行っているところ、複数税率について、取引ごとに「インボイス(適格請求書)」を発行し、税額を証明することを必要とする。
*インボイス発行は膨大な手間
*免税業者はインボイス発行ができない➡ 取引から除外、又は課税業者になる
*制度導入の目的=複数税率の下で、個々の商品・取引における税額を正確に把握するためと政府は説明
*現在の帳簿方式で対応可能
*にもかかわらず、インボイス制度を導入しようとするのは、3つ以上の複数税率、つまり20%台の消費税を狙っているのか?
●異次元金融緩和を繰り返しても、賃金が上がらない中では、購買力も上がらず、経済成長につながってはいません。お金が行き場を失うわけです。やはり、日本経済復活のカギは賃上げだなと、改めて確信を持ちました!
賃上げに向け第一にやるべきことは、最低賃金の引上げです。最低賃金引き上げは大きな内需拡大策です。その際にアメリカやフランスで行ったように中小企業への抜本的な支援策は必須です。(2022.9.22)