●7月21日、議会前半最終日に県議会には「故安倍晋三元総理大臣を悼み暴力には屈しない決議案」が提案されました。決議の対象は「ご逝去に哀悼の意を表し」と「言論及び政治活動の自由を守り、暴力には決して屈しない」という二点。
反対討論で共産党県議団は、後者には賛同することを明確に述べたうえで、前者に反対しました。県民の意向を代表する議会が「哀悼の意」という極めて内心の自由にかかわる内容を決することは行うべきではないと考えたからです。
●この決議に関わる21日の「産経ニュース」、本文は、通信社から配信されたままの内容で、事実としての明確な誤りはなかったのですが、見出しは「『多様な考え方の県民いる』安倍氏銃撃非難決議に共産県議が反対」とされました。これでは共産党が銃撃を擁護することになってしまいます。
誤解され易いのですが、決議案は「暴力には決して屈しない」と謳っていますが、「銃撃非難」という言葉はどこにもありません。さらに共産党が反対したのは哀悼の意を決することであって、「銃撃非難に反対」した経緯は全くありません。
●この訂正を求めて私と大山議員は、県庁記者クラブの産経記者と面会を試みました。4回訪ねても結局会えなかったのですが、何とか電話でつながりました。記者クラブは介在していないことがわかりましたが、県庁記者を通じて、横浜総局に県議団の意向を伝え訂正を求めました。
その結果、横浜総局から「見出しは訂正しました」との連絡が入りました。私は携帯を握りながら思わず「やったあ!」と心の中で。「どうせ直さないよ」という声も多かったものですから。
●訂正後の見出しは「『暴力に屈しない』安倍氏殺害で神奈川県議会が決議」というもの。
産経ニュースは、当初「県議会で決議が可決された」ということより、「共産党の態度」に着目したということになり、それはそれでありがたい事ながら、事実ではない言及となったことが残念。
ちなみにネット版ではない産経新聞紙上においては、23日の掲載時から今回訂正した見出しとなっています。つまりネット版には特別扱いが講じられる場合があるということです。ネット版編集者が期待したか否かはわかりませんが、ネット上では、「さすが暴力革命の共産党」論が踊りました。
●私は、見出しが訂正されたことは評価しつつ、横浜総局に対し、「共産党はあらぬ批判や中傷にさらされているのだから、謝罪文あるいは訂正に至った経緯を書いてほしい」と要望。これについては「勘弁してほしい」の一点張り。ようやく「横浜総局では対応できない。東京ネット部が担当だから」と。ではどこにお願いすればいいのかと問うも、「それはこちらから教えるわけにはいかない」。ついで「紙面に記載された番号にかけて聞くしかない」と。
ところがその番号では全くらちがあきません。そこは電話の取次ぎのような場でしたから、要件を説明し、該当する係に回してほしいと言いましたが、「電話はとりつげない」と繰り返します。メールアドレスを聞いても「ホームページで探してほしい」と。
●私は「一般的な問い合わせではなく、そちらが誤って掲載した記事にかかわって不利益を被っている。そちらからの誠意を示すものとして電話の取次ぎをすべき」と重ねて求めましたが、通じませんでした。
なぜ電話は受けないのかと問うと、「対応する必要がないものもある」というので「それは、本来的には電話でもメールでも同じではないか。電話ならやり取りが面倒だから受けず、メールならそのまま無視できるから良いということか」というと答えは無し。
でもまだ私は諦めてはいません。困難は承知ですが、日本のマスコミも変わらなければなりません。(2022.8.1)