●日頃から精力的な取り組みをしている民医連が、8月1日県に対し、三つの要請を行いました。コロナ急拡大の中、県議団も思いを共有しながら同席しました。
●一つは「新型コロナ感染第7派から県民の命を守るための緊急要請」。
検査の拡充、重症用病床の確保、往診に協力できる医療機関の確保、急増する自宅療養者へのフォローが行える医療機関や訪問看護ステーションの拡充などを求めていました。
とりわけ発熱外来の窮状を訴えました。朝の6時過ぎから受付を開始し、7時過ぎには予約が埋まってしまう、とのことです。せめて外来開設の医療機関には助成金を支給することを求めました。
医療機関のワクチン接種は遅きに失したと訴え。医療従事者の感染が増大し、いくつものクラスターが職場に穴をあけていると。
県の主な回答は、次の通り。
*無料検査は8月末まで延長。
*検査の試料は足りているが、供給の流れに問題あり。
*往診医療機関は、45機関に依頼中。
*医療従事者向けの大規模接種会場はすいている。
*発熱外来を増やす努力はしている。
●次に「エアコン購入等の費用助成に関する緊急要請」
生活に困窮する高齢者世帯に対して、エアコンの購入、または修理する場合の費用を助成すること。合わせて電気代の助成を行うことを求めました。
総務省によると6月27日から7月3日の一週間で、1万4,353人が救急搬送されており、過去最高の数字となっています。
搬送された人で最も多いのが65歳以上の高齢者、熱中症の発生場所として最も多いのが住居内。東京都(23区内)のデータによると、住居内で死亡した人の約5割が、エアコンがないか故障していた、あとの5割があっても使用していない人だったとのこと。使用控えは、電気代の高騰によるものだと思われます。
平塚市など電気代の助成を始めた自治体もあります。
県は、電気は水などと同様インフラと考えているが、住民ひとり一人に対する助成は市町村が行うべきであり、県は情報共有できる仕組みを作るなど、支える役割と考えていると。
●最後に「生活困窮学生に対する給付金支給を求める要請」です。
要請項目は、生活困窮学生を対象にした給付金を県独自に支給すること。
文科省の調査では、経済的困難を抱える学生は40.7%にまで増加しているとのことです。コロナの影響により家庭の経済状況が変わったこと、アルバイトが減少による収入減が背景となっています。加えて電気代や食料品の値上げです。自治体独自の給付金を開始した相模原市の例もあります。
県は、学生の困難は承知しているが、やはり基礎自治体の仕事と回答。
●今回の要請は医療分野の要望にとどまらず、民医連の幅広い取り組みを反映していると思います。命を救うためには、医療だけではおぼつかないのが現在の日本です。
医療費や教育費が無料の国もある中で、日本は高齢者の医療費負担が増え続け、学費が高くバイトに大きな時間を割かざるを得ないという具合。
医療現場から日本の貧困を直視する、民医連ならではの取り組みが続きます。(2022.8.1)