●日本民主青年同盟(略称:民青)という組織があります。若者の切実な要求に応え、社会の進歩をめざしています。これまで、県に直接要望をぶつけることは無かったのですが、昨年、コロナ禍の苦しみを県政に届けました。県の担当者も戸惑いながらでしたが、熱心に耳を傾けてくれました。
●今回、再度の要請があり、私たちも同席しました。
民青は、昨年の11月から今年の6月1日にかけて「新自由主義を乗り越えるための青年の生のこえ」運動に取り組みました。63人の若者から丁寧な聞き取りをしています。
学生で目立ったのは「学費が高い」「教育を受ける機会が奪われている」「今の社会に絶望しか感じない」「本当に困っている人にお金が使われないのがイヤ」「バイトの時給上げて」等の記載が印象的でした。
社会人では、「妊娠・出産に係る費用を無料にしてほしい。現在の支給では足りない」「保育料を無料に」「サービス残業どころかサービス出勤している人もいる」「30歳目前で20万円にも届かない。人権疎外されている」「給料が安い」「老後への貯金に備えると旅行にも行けない」「首にしづらいルールを」「できるだけ正社員にして欲しい」「このままフリーターでいいのか」「働いても働いても生活できない」「消費税下げて」等々。
経済要求とは違いますが、「選択的夫婦別姓制度」は多くの人が望んでいました。
●これらの取り組みを背景にまとめたのが今回の要望書です。要旨は次の通り。
- 学生・院生・留学生に給付金を。10万円の定額給付金を国に求めて。
- 生活に困窮する若者に家賃補助を。
- 県立保健福祉大学の学費を半額に。国に対して大学・短大・専門学校の学費半額を求めて。
- ケア労働の待遇改善と増員・就労支援を。
- コロナ感染拡大から若者を守るために。(検査の拡充、ワクチン接種の迅速化など)
- オンライン授業の長期化などに伴い、心身の健康や生活に関わる相談窓口の設置を。
- 若者・学生の問題に取り組む部局の設置を。
- 徳島県は食糧支援に2400万円、静岡県では学生支援に約11億円の予算をつけている。神奈川県も青年・学生支援を。
●回答は、すぐさま実現をめざすとのクリアなものは無かったのですが、全体的に受け止める方向で説明がありました。以下説明のポイントなどです。
3.について。県立保健福祉大学ではコロナ禍の下で、家計急変者も減免対象に加えている。
4.について。介護職への3%の上乗せが3回行われている。
5.については、その時々のコロナの特性に応じて行っているので、現在は高齢者施設に一斉の検査を行うのではなく、発生した場合に重症化させない取り組みを行っている。若者へのワクチン接種を進めるために接種できる時間帯を伸ばしている。
6.について。6か所のサポートステーションにおいては、子ども若者相談としてライン相談のリアルタイムでの相談時間を延長している。(13時~15時➡14時~21時)
7.について。*青少年総合対策部会を設けている(これは新しい動きです)。*生活困窮者対策推進本部として求められている施策を探るためにヒヤリングを続けている(これも県としては画期的なこと!)。
8.について。食糧支援やフードパントリーにおいて、県民や企業の間を取り持ってマッチングを促進させている(これも従来にない取り組み)。
●7.8.などは、昨年の民青の申し入れなども契機となった新たな動きで、今回の申し入れも情報共有の場ともなり、熱心に若者の声に耳を傾ける担当者の姿が印象的でした。
「若者は、経済的困難に直面しても容易に扶助制度などは思いつかず、バイトを増やすなどの対応になる」「若者自らは貧困を表明しにくいので、容易に相談できない」などの意見に対し、県担当者は「見えない貧困ともいうべきもので、大きな課題と考えている」と答えていますが、まさに新しい分野に乗り出す困難だと思います。
今後、予算的な措置も含め、「生活困窮者対策推進本部」等の施策に期待して要望と懇談を終えました。(2022.6.7)