●神奈川朝鮮中高級学校創立70周年記念式典に参加しました。
1951年、沢渡の地で生徒105名、教員7名の中等教育からのスタートだったそうです。1970年、地上5階、地下2階の現校舎を建設、1984年、ようやく体育館も完成。壁には、創立当初からの校舎の様子も展示されていました。
校長先生は式典の挨拶で、「皆が心と力を一つにし、世界に胸を張れる学校を、人間の尊厳を知り、自分のアイデンティティを大切にし、他の人々と共生することのできる人間を育む学び舎を」と100周年に向かって新たな歩みを始める決意を述べていました。
●生徒も先生も、喜びとともに複雑な思いを抱いているのではないかと、私は思います。校長先生も「民族教育を取り巻く環境は、今もこれからも複雑で厳しいことと思います」と述べています。
私達の忸怩(じくじ)たる思いは、朝鮮学校への神奈川県の差別的な扱いにあります。
1977年来、神奈川県は「私立学校経常費補助金」の支給を行ってきました。
ところが2011年、朝鮮学校の歴史教科書から拉致問題の記述が削除されたことが判明し、補助金の見直しが始まります。
2014年、県は経常費補助を打ち切り、神奈川県独自の学費補助制度に切り替え。
2017年、学費補助は、教科書に拉致問題を明記する改定がなされることが前提であったにもかかわらず、それが履行されていないとし、補助打ち切りを決定。それ以来、学費補助は行われていません。
神奈川県の対応は、朝鮮学校に通う児童・生徒の学習権を侵害することにならないでしょうか。また、他の外国人学校に通学する生徒に対する学費補助については、教科書の内容が問題とされたことは無いのに、なぜ、朝鮮学校だけが問題とされるのでしょうか。
そもそも教科書記載内容は、教師にも生徒にも何の責任もありませんし、内容を変える権限もありません。学校に対する補助打ち切りは不当です。学びに対する保障は等しく行われるべきです。
●生徒への差別的扱いとともに、経常費補助を打ち切られて久しい朝鮮学校の苦境を、私達は視察で度々見聞きしています。
耐震工事はもちろんできていませんし、破損個所は業者に発注できずに、保護者が修理していました。老朽化した校舎に胸が痛みました。
そればかりではなく、ついに教員の人件費もままならず、教員の削減も続いていました。まさに学びが保障されていない事態です。
県が補助を打ち切る中で生じているこの窮状。県議として本当に見逃せません。
この事態を変えなければと改めて思いながら、学校を後にしました。(2022.4.24)