●予算委員会が始まりました。4日間ありますが、上野議員と2日ずつ分担。
4日とも答弁含め15分。15分を過ぎると、超過分は翌日の持ち時間から引かれてしまいます。
1日目に取り上げたのは、医療・保健体制の強化。
コロナ禍で明らかになった最大の問題は、保健・医療体制の脆弱さだと思います。感染症法を逸脱した「自主療養」などに陥ったのは、神奈川県の脆弱な体制が大きな要因です。この体制を強固にすることなしには、県民の安心した暮らしは成り立ちません。
●病床を増やすために
人口10万人当たりで、神奈川県の病床数は全国最下位。
知事は昨年の本会議答弁で、病床の不足を認め増やす努力をするとしています。
基準病床数に満たない二次医療圏の取り組み状況を、以下の内容にわたって問いました。
ア 病床を増やすための働きかけ
イ これまでを上回る増床確保のための方策
ウ 新しく病院を増やすための働きかけ
答 弁
ア 不足地域の公募をHP・地域医療構想会議通じて行っている
イ 病床機能の転換を図る病院には、国の地域医療介護総合確保基金を活用し、補助を行ってきた。コンサルタントの派遣も行う。
ウ 新病院開設は常に募集・働きかけを行い、基準病床に満たない4つの地域においては、直近3か年で二つの病院が開設されている。
●医師の確保
医師数は、2018年の統計で全国平均に対して3148人の不足。人口比で全国39位。以下を問いました。
ア 神奈川県医師不足の要因
イ 医師増員の計画とそのための方策
答 弁
ア 関東では高度な医療機関が集中する東京への就労が多くなり、神奈川はその影響を受ける。
イ 毎年312名の増員を目標とし、県内医療機関で9年間就業することを条件とした修学資金を活用。全国の医学生対象の臨床研修合同説明会をオンライン開催し、医師確保に努めている。
●医師の長時間勤務の解消
「2029年以降は医師過剰になる」という政府推計は、病院で働く医師の異常な長時間労働が前提となっています。医師の長時間労働の実態把握とその改善策を問いました。
答 弁
国の調査に回答した県内189病院のうち、37病院に年間時間外労働960時間超の医師が存在、10病院に1860時間超の医師がいる。
医療機関による勤務環境改善の取り組みに補助。労務管理アドバイザーの活用による勤務状況の改善を図っている。
●看護職員の確保
看護職員数人口比全国47位。増員のためには、労働条件改善が不可欠。労働条件改善と増員のための方策を問いました。
答 弁
時短勤務を採用し育児・介護中の看護師の就職を促し、ICT(Information and Communication Technology)導入による業務効率化を図っている。今年2月から月額4000円引き上げのため、医療機関に補助金を交付。
●看護職員の離職対策
神奈川県の2019年度看護職員の離職率は全国平均を上回る13.8%。神奈川県の高い離職率の要因と具体的な離職防止対策を問いました。
答 弁
都市部は病院が多く転職が容易なため離職率が高くなる。離職防止のために院内保育施設を有する122病院に対し運営費補助を行っている。
各病院が行う看護職員研修にも補助金を交付している。
リアリティショックによる離職を防ぐため、看護実習受入れ医療機関に交付する補助金対象を広げる。
●保健師の確保
1997年の地域保健法施行を契機とする国の誘導により、保健所数は、1990年度850カ所から、2020年度469か所に激減。職員数も1990年度の約3万5千人から2017年度には2万8千人に削減されました。
コロナ禍の下、各地で保健所の機能マヒが起こりました。
保健所の機能を最大限発揮させるためには、保健センターを保健所として機能強化する、福祉事務所と統合された保健所を分離させそれぞれの機能を拡充するなどが必要ですが、当面の増員は必須。今年度、コロナ対策として保健師を採用しましたが、単年度にとどまらず、来年度以降も継続して正規の保健師の増員が必要と訴え、知事の見解を問いました。
答 弁
新年度に向け保健師を18名採用、この内経験者8名をコロナ対応の即戦力として前倒しで採用。
保健師志望者を増やすために、自治体で働く保健師の魅力を知らせる動画を配信。
保健師養成大学と連携し市町村合同説明会を開催。
●医療・保健体制、この分野は県民の命に直結します。今直面している苦しみをそれだけに終わらせないために、今後を見通した医療・保健体制の拡充を強く求め質問を終えました。(2022.3.14)