●暮れも押し迫った27日、県議団は、県立障がい者支援施設中井やまゆり園と愛名やまゆり園を訪れました。私はJR東日本との話し合いがあり、午後の一園のみの参加となりました。
●愛名やまゆり園は、1966年に精神薄弱児施設(不適切な言葉ですが、当時の施設名として冠されています)として開設後、1986年に児・者施設「県立愛名やまゆり園」となりました。2002年には指定管理施設となり、かながわ共同会が受託しました。
重度・重複障がい者支援、児童支援、医療的ケア支援を実施、相談窓口支援も行っています。
現在の定員は130名。障がい支援区分6が115名、区分5が21名、区分4が1名という状況です。職員数205名(常勤129名、非常勤72名)。
グループホーム4所・日中活動支援センター・就労継続支援B型事業所などを、運営しています。
●園の説明の中からいくつか。
*意思決定支援に取り組んでいるが、津久井やまゆり園のような体制はとれず、充分とは言えない。
*日中活動は、地域で行うよう心掛けている。
*地域活動の場には、比較的恵まれている。
*医療的ケアが必要な場合も多いが、夜勤看護師はいない。
*「この施設で、生涯暮らすことはできない」と説明している。
●5点目、「障がいの生活の場ではない」という説明に、私はひっかかりました。
グループホームを初めとした地域生活が主となっても、施設で暮らしたい方はいますし、その選択はそれこそ、当事者にあります。
当事者意思の尊重といいながら、最近は知事をはじめ、多くの人や県当局は、施設を通過型と位置づけています。
「障害のある人も地域で普通に暮らせる社会を」という考え方がその背景となっています。
地域移行の流れが大きくなる中で、そのこと自体は評価しつつ、施設の役割は依然としてあるというのが私たちの認識です。先日の代表質問でもその立場から、県立支援施設の充実が必要と質したところです。
支援施設は、グループホーム生活者の緊急避難的な場であったり、グループホームの生活が困難になった場合の受け入れ、また地域生活のセンター的な役割があります。とりわけ県立支援施設の場合は、県施策への反映という役割も担っています。
これらの点から、通過型という決めつけは妥当ではないと私は考えています。何よりここで暮らす人たちに「先々も暮らせる場所ではない」と告げることがどんな意味を持つか、考えるべきと思います。
私は、説明の場でもこのような考え方を示し、県立施設の重要性を述べました。その意は理解していただいたと思いますが、県行政が通過型と位置付けている事情や指定管理事業者という立場からか、明確な答えは返っては来ませんでした。
●このような問題意識も持ちつつ、施設内を見せて頂きました。
園内には診療所が併設され、内科・精神科・歯科の診療を行っています。必要に応じて、近隣の医療機関と連携します。
日中活動の場で、作品や作業途中の状況を見せて頂きました。
体育館でも作業室でも障がい特性への配慮として、一人で落ち着いて過ごすコーナーがあちこちに設けられています。写真にある体育館の一角に設置された机や、作業室のパネルで囲まれた空間などがそれです。
園は、ゆったりとした空間にあり、空も広く「高い建物が無いのはいいなあ」と深呼吸をするような気持ちでした。
高台にあるため、グループホームの一つを眼下に望むこともできました。
障がいのある方たちが能力を活かしながら安心して暮らせる場の確保、支援する方たちが充分な体制で臨める支援策の充実をと、改めて思いました。(2021.12.27)