● 民医連はコロナ禍の下で大活躍です。今回は、「在留外国人の医療費支援を求める要請」を知事あて提出しました。
要請の場に同席させていただき、私たちもとても勉強になりました。
現在、神奈川県在住の外国人は22万8275人、173か国・地域に及びます。医療保険に加入できないために医療にたどり着けず、重症化を余儀なくされている外国人が多くいます。
● 民医連は、健康保険に入れない外国人に対しても、無料定額診療事業を展開してきましたが、これでは医療機関の持ち出し額が大きすぎるとして、二つの要請を掲げています。
1.在留外国人の国民健康保険加入の要件を緩和すること。短期滞在でも医師が治療の継続が必要と認めた場合には、国民健康保険に加入できるようにすること。
2.無保険の在留外国人が医療機関を受診する場合には、健康保険や生活保護を利用できるまでの間は、県独自の医療費助成を行うこと。
● この要請に対して県の回答は次の通り。
【1.国民健康保険加入について】
*日本国内に住所を有するものは、国民健康保険の被保険者となるのが原則。
*ただし、次は適用除外。〇他の医療保険に加入するもの、〇短期在留外国人など、〇省令で定めるもの
*上記の中でも適用除外の例外、つまり適用可能となるものがあります。〇短期在留の外国人であっても、客観的資料等から3か月を超えて滞在すると認められる場合、〇人道的見地から認められる告示外の特定活動など。
★要件緩和としては、特定活動で対応できないかを検討中。難民支援のNPOの証明があれば、特定活動として認める場合もある。 無保険者を作らないことも大事。そのために日本に呼び込む事業者への規制も必要と考えている 。
【2 .県独自の医療費助成について】
*在留資格のある定住者は生活保護の適用になるが、在留資格がない外国人は、生活保護適用できず。
*適用受けられない人の場合、大使館に相談する方法はあるが、ほとんど期待できない。
*不法滞在であっても「行旅病人(こうりょびょうにん)等」として入院できる場合はある。(「行旅病人及び行旅死亡人取扱法」に基づく。外来は不可)
★感染症以外は、医療的サポートの対象となっていない。医療費助成は困難。
● 今回、県として主体的に国民健康保険組合あて文書発出していることもわかりました。
コロナの影響により帰国できない等の場合、法務省が在留期間延長とする取り扱いを受けて、被保険者資格についても「外国人被保険者に対する被保険者証の有効期間について、申請又は職権により、無資格状況が生じない対応に努めること」を依頼しています。
● 要請項目について、確実な答えはまだ得られない段階ですが、民医連の側からは、「何とか救える命を救いたい」という思いがひしひしと伝わってきます。
外国人の医療の困難さが語られました。端的な問題として、言葉が通じない、さらに医療用語が難しく、充分なやり取りができない、等です。
「無保険なので持ち出しが大きすぎる。さらに外来だけならまだしも、入院による継続した医療は困難な実態がある」とも。
● 外国人在留資格には議論の余地が大いにあるところですし、名古屋の入管で死亡したウイシュマさんの事例が示すように、在留外国人に対差別的かつ非人間的な扱いをしていることが衆目に晒されました。
でも在留資格の有無に関わらず、命と人権は最大限尊重されなければなりません。
今回の要請は、国に声を上げ、法を変えていくことの端緒にもなると思います。(2021.9.2)