君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

裁判の矛盾、フラワーデモの苦しみ |君嶋ちか子|神奈川県会議員

2021年4月16日

●起訴事実当時17歳だった女性が、母親の交際相手からの長期間の性的虐待について、裁判で強姦罪を問いました。強姦罪の時効(10年)直前でした。

これに対し、3月15日横浜地裁川崎支所は、無罪判決を言い渡しました。

一連の性的虐待は、強制わいせつ罪の時効(7年)に阻まれ起訴には至らず、起訴できたのは2010年2月13日の強姦罪相当の被害だけだったのです。

●私は判決文を直接読む機会がまだなく、以下の判決文の引用は報道によります。

裁判長は「苦痛が筆舌に尽くしがたいことは明らか」と指摘しながらも、起訴内容通りの日や場所で事件が起きたとするには「合理的な疑いが残る」と結論付けています。でも、今回の事件において、日や場所は事実を否定するに足る重さを持つのでしょうか。

判決は「(被害者が)被告を社会的に抹殺したいと考えたのは至極当然の感情」だから、「供述に誤りが含まれる危険性が高まる」と指摘していますが、このような理屈を否定の材料として用いるならばおよそ怒りと告発は両立しないことになります。

さらに、一連の事態に対し「苦痛は筆舌に尽くしがたい」と認定したのですから、「誤りが含まれる危険性」は、「日や場所に疑いが残る」点をカバーするものとして組み立てることも可能だったのではではないかと私は思いました。

今回の裁判は、この認定の下に、解釈が認められる範囲で最大限被害者に寄り添うことが、期待されたのではないかと思います。

また、女性の婦人科受診が被害から三か月後だったことや行為中の加害者の動きの記憶があまりないことを、裁判官が疑問視したとの指摘もありましたが、これを疑問視する裁判官の認識こそ問われます。

17歳の少女が、恐怖のあまり加害者の動きが記憶にないなんて当たり前です。受診をためらうのだって当たり前です!何という残酷な見解を示すのかと思いました。この裁判官がもっと性被害者の心理を学んでいたら、と悔しさが募ります。

●短すぎる時効についても一言。

「未成年で被害を受けた人が治療に来る年齢で多いのは20代後半から30代」と性暴力被害者に接する精神科医の小西聖子さんは語ります。当事者団体スプリング代表の山本潤さんも「被害を認識できたのは30歳を過ぎてから」と自らの経験を語っています。裁判に訴えた女性も虐待による精神障害を患い、医師のカウンセリングを経て警察にたどり着いた時には、被害から9年経っていました。

このような特殊性を踏まえ、イギリスでは性犯罪に時効が無く、フランスは成人するまで時効を停止し、ドイツは被害者が30歳になってから時効の開始としているそうです。

●11日、この判決にたいする抗議と刑法改正を求めるフラワーデモが、川崎支所前と川崎駅前で行われました。

私も参加するため、再び川崎駅に来ました。再びというのは、同日これに先立ちヘイト街宣があり、川崎駅に来ていたからです。この日、川崎は多くの苦しみを顕在化させました。

フラワーデモは絞り出すような発言が続きます。ここに来るまでの年月、どれ程の痛みを身と心に抱えてきたことでしょう。

私は、被害を受けた皆さんがここまで歩みを進めたことに敬意を抱くとともに、言葉を発することにより、少しでも自分を肯定できるように・・と念じないではいられませんでした。

川崎フラワーデモは2回目。この日はオンラインも含め31都府県46都市で取り組まれました。(2021.4.11)

新着記事

  • 過去の記事

  • facebook
PAGE TOP