●第一定例会最終日、前回のブログで、議案に対する態度などを報告しました。今回はその続き、請願・意見書案などについて。
●住民の要望に対してどのような態度を取るのか問われるのが、請願です。
請願は今回5件。
その内、以下の3件は、政務活動費にかかわるものです。
「政務活動と他の活動が混在する場合の按分の基準と上限を決め」「合理的な目安を例示することを求める請願」
「ネット公開された政務活動費を閲覧する際、議員名で検索することができ、使用した支出伝票を閲覧できるようにすることを求める請願」
「委員会傍聴の終了後傍聴者に配布された資料を持ち帰ることができるようにすることを求める請願」……いずれも有権者としては当然の要望ですが、採択は共産党だけ。他の会派は継続審査としました。
県立高校改革実施計画(Ⅱ期)で計画されている「逗葉高校と逗子高校の統廃合についての請願」これも採択は共産党だけ。他の会派は不採択。
「商店街における防犯カメラの設置及び維持に対する国の支援の実現を求めることについての請願」は神奈川ネットのみ不採択で採択されました。共産党は、監視社会など負の側面に懸念はあるものの、商店街形成に不可欠となっている事から採択としました。
●意見書案は14件提出されました。
「コロナ禍における更なる失業者対策を求める意見書案」を初めとした12件に共産党は賛成しました。
●反対したのは次の2件。
一つは、「高等学校におけるICT環境の整備を求める意見書案」です。ICT環境の整備は必要と考えていますが、この意見書案には「GIGAスクール構想の推進」が掲げられていますから反対しました。
GIGAスクール構想は、子どもたちからスタートした発想ではありません。IT産業や教育産業の要請を受け経産省が後押しするもので、「教師と教室を超えた個別最適化空間」と掲げています。教師の増員も学校の整備もいらなくなります。「公教育はいらない」旨の言葉さえ垣間見えます。教育をIT産業や教育産業の市場として開放しようとする意図が感じられます。
私は、2月の本会議質問で「ICT機器は教育のツールの一つとして限定した用い方とせよ」と求め、教育長の同意を得ていますが、尚、今後の攻勢は予想されるところ。GIGAスクール構想に教室を明け渡してはなりません!
反対したもう一件は、自民党提案の「父母の離婚後の子育てに関する制度の改善を求める意見書案」です。上川法相の同問題における法制審答申に同調したものとも思われますが、「充実」の内容が明らかには示されていず、法による強制の方向も懸念されたため、反対せざるを得なかったもの。
共産党はそれに代わり対案を提出。
共産党の対案では、実情を踏まえ、「共同親権」の問題では、親権と監護の問題を含め法的に未整理な点が多いため、法制審において慎重審議とすることを求めました。
また「養育費」の問題では、法整備とともに、生活支援策の強化など施策の充実を求めました。
「面会交流」については、今回対案を作る為に調査して、改めてその危険性に驚かされました。面会交流の場が離婚後のDVや児童虐待の場になったり、殺人にまで至ったケースを生み出しています。また子にとっても一方の親にとっても、大きな心理的負担になっているケースが少なからずある事も調査結果に示されています。
これらの実態から、面会交流を義務化するなど法的に強化するのではなく、専門的なサポート体制の充実や安全な場の提供こそ必要と訴えました。こちらも法の強化よりは施策の充実が求められます。
●共産党が「PCR検査の抜本的な拡充を国に求める意見書案」を提出したところ、自民党は「新型コロナウイルス感染症の検査体制の整備に向けた支援拡充を求める意見書案」を出してきました。同趣旨で、具体的な内容も相反するところはありません。
これはどういう展開になるかというと、神奈川県議会によくあるパターンですが、共産党案には、共産党を除く全ての会派が反対。自民党案には共産党も賛成しますから全議員の賛成で可決となりました。共産党は内容で判断しますから、当然のことです。
他の会派の方には、「なぜ同内容でありながら片方には反対なのですか」と問いたいところ。
●当局提案の議案だけではなく、請願・意見書をめぐっても様々な思いが交錯します。PCR検査の拡充など共産党が出すことによって、他会派の動きを促すことは今までにもありました。全会一致で意見書が国に出されることは充分意義がある事です。
かくして第一定例会は閉会となり、いよいよ4年の任期の折り返し地点を迎えました。(2021.3.25)