●文教常任委員会では、既に書いた指定管理者の問題に続いて、中途退学の問題を取り上げました。
▼「平成30年度神奈川県児童・生徒の問題行動等調査結果について」で気になったひとつが「中途退学者数の推移」です。
2012年度と2018年度の間、それぞれの年度で多少の増減はありますが、傾向として、定時制と通信制の退学者数は減少しているにもかかわらず、全日制だけが増え続けています。
変化の要因をどうとらえているのかを聞きました。
▼担当課長からは「学業不振や学校の雰囲気が合わなかった」との答えが返ってきました。でもこれでは、増大している事の説明にはなりません。
なぜ全日制の中退が増大しているかという点で、私は、県立高校改革を考えざるを得ません。担当課長は、かつてのやり取りで、「学校の特質を理解していなかったのでは」と言っていましたが、まさにその通りです。
2000~2009年度に「県立高校改革推進計画」が実施され、14件の県立高校再編と、新しいタイプの19校が設置されています。2015年度には、さらに「県立高校改革実施計画」を策定し、改編が進行しています。
別の資料でも、中退の理由として「学校が合わない」などがあげられています。
やつぎばやの「改革」が適切な選択を困難にし、そこで学ぶことを諦めさせているのではないでしょうか。
▼無理な特色づけを目的化した「県立高校改革」に私達は反対してきました。「グローバル教育推進校」「コンソーシアムモデル推進校」「クリエイティブスクール」等々、中学生には想像が及ばないような特色づけが、適切な選択を阻んでいます。そして「これは違う」と思ってもその学校において、修正することは困難です。
私は、無理な特色づけを行わず、生徒の変化や成長に対応できる「普通の高校」が望まれているとここでも求めました。
●次に取り上げたのは、教育委員会における内部通報制度についてです。
内部通報をし、それが適切に処理されていないと考えている方からの相談があったからです。
この制度は、具体的な検証がおよそ不可能な仕組みとなっています。何を聞いても「具体的な質問には一切答えられない」との答えが返ってきます。
処理が妥当かどうか、またその方が被っていると思われる不利益を修正できるかどうか、そのためにどのような取り上げ方が可能か、頭をひねりましたが、今回の相談で問題となっている事柄に沿って、本来の運用を正す事から始めました。
▼通報者の「不利益な取り扱いの禁止」をどのように担保しているか聞きました。これについて一通りの答えがあった後、私は、「通報に基ずく調査に当たっての配慮」を質しました。
これに対しては、「通報者と被通報者に事情を聴く場合、別の場所で行うように配慮する」との答えがありましたが、この基本に反することはなかったかと問うと「一緒になったことはある」との答え。この点は重要です。
▼「調査結果が指摘する是正措置などの履行は、どのように担保されているのか」を聞きましたが、外部調査を行うとの答えで、この点はピント外れでしたが、時間がなく、この点は引き続きの課題とします。
▼調査の結果、双方の言い分が食い違っている場合にどう対応するかを問いました。
「周囲の人を含めて意見を再度聞くなど、追加調査を行う」との答え。「証拠書類などの提示を求めるか」を重ねて聞いたところ「求める」との答え。この点も重要です。
▼今回は時間的にここまでが限度でした。これらの確認を踏まえながら、引き続き取り上げたいと思います。
このままでは、職場や業務の公正を求めるこの制度が作用しない、それどころか真逆のいじめになりかねないと懸念しています。この相談をされた方が「結局正直者が馬鹿を見るんでしょうか…」とつぶやいていましたが、そんな制度にしたくない、諦めの職場にしたくないと私は思います。
また個人情報保護の名目で、具体的な検証をはねのけるこの制度運用も変えていかなければと思います。(2019.12.10)