●地位協定比較調査、辺野古新基地問題に続いて、以下の二つの報告を。
【跡地利用広域構想について】
●SACO最終報告による土地返還状況は、返還済みが4施設454ha、今後の返還予定は5施設5002haとなっています。
沖縄県はこの跡地を、県の均衡ある発展につなげたいとしています。
米軍施設の7割が集中する沖縄の特徴は、その多くが民有地であること。跡地利用のためには、地主からの先行取得も大きな課題となっています。
●ところで、沖縄における米軍施設の状況は以下の通り。
*国土面積の約0.6%の沖縄に米軍施設の74%が集中。
*そのため、本島中南部には県民の8割強が住み、政令指定都市並みの人口密度に。
*そのうえ、米軍施設は市街地を分断する形で存在しているため、町づくりには、大きな障害となっています。
*それだけに!米軍施設の返還跡地の活用は、沖縄の発展に大きな役割を果たします。
●既に返還されている桑江・北前地区、小禄金城地区、那覇新都心地区における直接経済効果は、返還前の28倍になっています。(整備によって生じた効果を除いても)
今回は、中南部都市圏を中心としてお話を伺いました。
「中南部都市圏駐留軍用地跡地利用広域構想」を県・那覇市・宜野湾市・浦添市・北谷町・北中城村でつくっています。
この構想は、明確に次のコンセプトを掲げています。
*跡地振興拠点地区の形成(新たな産業の振興)
*幹線道路の整備、交通ネットワークの構築
*自然環境と歴史文化の保全・再生(良好な生活環境の確保など)
これらについては、翌日訪問の北谷町でまたリアルに伺う予定です。
【子どもの実態調査と貧困対策】
●沖縄の子どもはとても困難な状況にありました。
10代の出産割合・離婚率・中学校卒業後進路未決定率・高等学校の中途退学率は全国で1位、高等学校進学率・大学等進学率は全国47位といった状況です。(統計数字はそれぞれ28-30年度とばらつきがありますが)
●これらの状況を抱え、県は「社会や経済が子どもに与える影響について」実態調査を行いました。
調査によって、低所得層ほど子育ての相談先がなかったり、病院等の受診を抑制する傾向が高い、小5の困窮世帯の約2割が就学援助制度を知らない、困窮世帯の子どもの自己肯定感が低い、小1保護者の約6割が放課後児童クラブの利用料に負担を感じている、等の実態があぶり出されました。
●この実態に対し、子ども医療費の現物支給、TVコマーシャル等による就学援助制度の周知、放課後児童クラブ利用料の減免、高校生ひとり親世帯のバス通学サポート実証事業など行いました。
その結果、貧困線未満世帯の減少などに結び付き、就学援助制度利用も増え続けています。また、小5の回答でも自己肯定感が高まっています。
●保護者の自由記述欄を少し紹介。
*給食を無償化にして欲しい、貧困家庭にとって給食は命をつなぐもの。
*学用品や制服など、再利用で安くあるいは無償で提供してくれる場がほしい。
*生活保護を受けている家庭の子どもでも部活ができるようにしてほしい・・等々。
「子どもの貧困対策として何が必要か、実態調査から浮かび上がってくる」と神奈川県知事に実態調査を求めた時のことを思い出しました。知事からは「考えていない」と冷たい答えでしたが。
●「沖縄県子どもの貧困対策計画」は、基本理念として「社会の一番の宝である子どもたちの将来が、その生まれ育った環境によって左右されることなく、夢や希望をもって成長していける社会の実現を目指す」と。
「自治体として、とてもやりがいを感じる仕事だと思いますが、いかがですか?」と私は思わず聞いてしまったのですが、「本当に現場の声に応えられているのかと、考えてしまいますね」とあくまでも謙虚なお答えが。
その1に記した基地対策においても子どもの貧困対策においても、住民の暮らしを守ろうとする姿勢と政策に感動しながら、沖縄県庁を後にしました。(2019.11.11)