●県議団の視察を11~13日に行いました。
今回は、沖縄の基地問題を中心とし、子どもの貧困対策についても学びました。
那覇空港に到着した11日午後は、県庁へ。4つのテーマでお話を伺いました。
●他国地位協定調査について(知事公室基地対策課)
【調査に至る経緯】
・2000年来、政府に地位協定の改訂を求めている。
・2015年、米軍基地負担について、知事会の中に研究会が設けられ、地位協定見直しの必要性が議論される。
・沖縄県議会では「他国との比較が有効」との声。
・琉球新報が事故時の対応めぐり特集記事。
【調査の目的】
・日米地位協定の問題点をさらに明確化する。
・見直しの必要性への理解を国民全体に広げる。
【調査内容】
・文献調査
・条文比較調査
・現地調査
【調査の結果】(結果をすべて報告することはもちろん不可能ですが)
端的に比較できるのが5か国比較表です。
国内法 | 管理権 | 訓練・演習 | 航空機事故 | |
日 本 | 原則不適用 | 立入権明記無 | 規制できず | 捜索等行う権利行使せず |
ドイツ | 原則適用 | 立入権明記・立入パス支給 | ドイツの承認が必要 | ドイツが現場を規制 |
イタリア | 原則適用 | イタリア司令官常駐・ イタリア司令部の下に | イタリアの承認が必要 | イタリア検察が証拠品押収 |
ベルギー | 原則適用 | 地方自治体の立入権確保 | 自国軍より厳しく規制 | (未確認) |
イギリス | 原則適用 | 基地占有権はイギリス・イギリス司令官常駐 | イギリスによる飛行禁止措置等明記 | イギリス警察が現場規制・捜索 |
日本の無権利状態が際立っています!
沖縄県の調査能力その行動力に拍手!です。一自治体がここまで迫る見事さ。
●辺野古基地建設問題について(知事公室辺野古新基地建設問題対策課)
【普天間飛行場の返還合意】
*1973年 沖縄県の米軍基地の整理・統合について協議・検討開始
*1995年 少女暴行事件
*1995年 沖縄に関する特別行動委員会(SACO)設置
*1996年 普天間飛行場の返還合意
*1996年 SACO最終報告
*2011年 辺野古沿岸域のV字型案に決定
【辺野古移設に反対する理由】
*米軍施設の約7割が沖縄に集中、既に過重な負担に。
*およそ13年かかる辺野古移設では、普天間飛行場の「一刻も早い危険性の除去」とは矛盾。
*約5300種の生物が生息する辺野古・大浦湾は、世界的にも貴重な保全すべき海。
*多くの県民が基地建設に反対し続けている。(県民投票の投票率52%・反対72%)
【埋め立て承認の撤回】【撤回めぐる訴訟】などは、ここでは省きます。
【工事の進捗状況】端的に言えば、進捗率1.0%です。
【今後の主な課題】
*地盤改良が必要な軟弱地盤が広範囲に。地盤改良に必要な砂杭約7万6700本。
*軟弱地盤は、最も深いところで水深90m。この深さに対応できる船はないし、経験もない。
*サンゴ類の移植。
沖縄県が、県民の意志に基づいて自治体としての態度を貫いているのに対して、国がなりふり構わず襲いかかっている状態です。県は国と7度の裁判を余儀なくされています。
県が、合理的理由を示し埋め立て承認を撤回したのに対し、沖縄防衛局(つまり国)は、あろうことか、行政不服審査の請求を行いました。私人が行政の決定に対し不服を申し立てるための法律を、国が一私人であるかのように用いたのです!
それに呼応し、国交省は承認撤回の執行停止を決定しました。承認撤回を取り消す裁決まで行いました。
県は、関与取り消し訴訟を行いましたが、福岡高裁は却下。抗告訴訟も進行中です。
経緯を淡々と語る担当の方。でも私は、そこに「静かな怒り」を感じました。「これが国のやる事か」という怒りです。
従来の法の枠組みを平気で壊す国です。「これからも困難な闘いは続くでしょう」と語る担当の方。
「沖縄だけの問題ではありません」とも。そうです。政権の意に沿わなければ権力を総動員して自治体に襲いかかってくる国ですから、形は違え、他県においてもあり得ることです。
国防は国の専権事項とされますが、これほどの過重な負担を、住民の意思と生活を無視して暴力的に推し進めることは、妥当なやり方ではありません。まして、実態として国防といいうるか否かも不明な他国の基地建設です。
●また長くなりました、残る二つのテーマ(基地跡地利用の振興策・子どもの貧困解消に向けて)は次回にします。(2019.11.11)