●決算委員会の二日目は、総務関係が対象です。私はヘルスケアニューフロンティア政策の見直しを求めました。
この政策に関わる予算と職員は膨れ上がり、2014年度の設置以来、49億6500万円を用いています。職員は2016年度のピーク時は57人を擁しました。
●この間未病サミットと称する国際シンポジウムを2回、国内シンポジウムを2回開催しています。シンポジストの論旨を追ってみると、未病サミットと称しながら、知事が言うところの「未病」とはいえない医療そのものの話と医療産業をめぐる話に溢れています。
このシンポジウムには、トータルで2億8559万円、実行委員会形式を用い企業などから拠出し、県負担分は1億1500万円。県民的広がりも、県民に直接反映されることもないシンポジウムは、もう終了し、県民の健康に資する具体的な施策を行うべきと質しました。
●シンポジウムだけではなく、展示会などで「未病」を知らせているとの答弁でしたが、「未病」は広げなくてもいいのです。未病の言葉を知らせることに、これだけの長い時間とお金をかける必要はありません。
「未病は、健康と病気の間のグラデーション」と知事は得意げに度々語りますが、この言葉自体を知っても健康になる訳ではありません。自治体は、健康に暮らし続けることを可能にする具体的な施策のためにお金を使うべきです。国際シンポジウムで先端医療や医療産業を追求することは、当該の団体や産業が行えばいいのです。
●住民が健康に暮らし続けるために自治体が行うべきは、例えば、健診の無料化、様々な交流を行える場を各地に提供すること、スポーツを気軽に行える施設を設けることなどです。
また、子どもの貧困化も進む中で中学校給食の実施促進のための補助制度を設けたり、子どもや高齢者の医療費無料化補助を充実させる、等必要なことが他に沢山あります。
これらに優先的にお金を使うべきと求めました。
●「未病の見える化で、行動変容を促す」などと、知事は繰り返しますが、健康を妨げているのは、身を削るような長時間労働や、経済的な事情で満足な食事をとれない子どもや若者であったりします。また年代を問わず高すぎる医療費であったりします。
この現実に目を向けずに、自己満足のような言葉の普及に時間とお金を費やす「未病」はもう掲げることを止めるべきです。
●今回は、ヘルスケアの一方の柱としている最先端医療については、取り上げる時間はなく当初から予定していませんでしたが、未病に限定しても十分なやり取りにはなりませんでした。
私の場合は、問題点や必要性を前段の質問の中であぶり出し、それをもってそのテーマで主張する根拠にしたいのですが、9分ではそれが難しいことを痛感します。こちらが何かを否定する時には、当局の答弁も長くなりがちですから、ますます9分に収めることは困難になります。今回のテーマなどその最たるものです。
先の4年間の、決算委員2人、質問時間15分(これにしたって短いのだけれど)とは違うことを、またもや思い知らされます。