●川崎合同法律事務所の日本共産党後援会がうれしい企画を。「消費税10%vs市民の暮らし」と銘うって山家悠紀夫さんをお招きしました。
物静かな語り口ながら、データを示し、バッサリ消費税とアベノミクスを斬りました。
▼その1:逆進性の強いの税制が最大の税収項目になろうとしている日本税制のひずみ。
下の表が如実に物語っています。1988年に2.2兆円だった消費税が2018年には17.6兆円に膨らんでいます。
▼その2:アベノミクスは失敗。増税環境にはない。
CDP実質成長率は2%を目標としながら、5年間一度も達成せず、2018年は0.7%。エンゲル係数は著しく上昇。
▼その3:財政再建に向けて、消費税増税以外に選択肢はある。
政府にお金はないが、日本国内には有り余っている。
金融純資産残高(余剰資金)の国内合計は、328兆円。これは世界第1位。
日本の社会保障制度は非常に不十分。(暮らしていけない年金・生活保護捕捉率約3割・自己負担多し・福祉労働者の労働条件劣悪)
▼その4:どこに財源を求めるか。
負担能力十分の大企業。
表のように2012年度に対する2017年度経常利益指数172、配当金指数166、つまり1.7倍前後に増えていますが、人件費指数は105とほぼ変わっていないのです。
法人税を増税しても国際競争力には響かない。企業が海外に行く際の動機として税負担は問題となっていない。主要因は、市場としての有効性と低廉な人件費。
大金持ちは、税負担能力十分。所得税最高税率は引き上げるべき。増税で海外に逃げていく人は多くない。何故なら同様の稼ぎがどこででも可能なわけではないから。
株の配当・株式売買益などの金融資産所得に相応の税負担を。現在株の利益に対してはわずか20%の税!
それでも足りなければ、消費税増税よりも所得税増税が妥当。
▼その5:暮らしと日本経済をよくするために必要なこと。
何よりも労働条件を改善すること、併せて社会保障制度を充実させること。
●私たちが普段口にしていることの裏付けを、すっきりと示していただきました。
「1990年代、企業は株主のためにあるという考えが支配的に」「健全な経営を捨て去った」との指摘には、納得。
私にも思い当たる光景があります。2008年以降の、大企業が誇らしげにリストラを発表する姿です。まるでリストラの数を競うかのようでした。それまでは、「社員の首を切る」という事に対して、苦渋の選択というような苦悩がうかがわれました。
山家さんによると、それまではリストラをすると企業の株は下がったのに対し、これ以降リストラをすると株が上がるように変化していったとのことです。
●講演の結論、「暮らしと日本経済の発展のために、労働条件の改善と社会保障を充実させること」大いに納得です。
このような政策に転換させなければ、日本社会は破綻すると私は思っています。地域を回れば明らかです。医療と介護で苦しみ生活破綻に追い込まれている人のいかに多いことか。(2019.2.26)