●31年前、軍事独裁政権の嵐が吹き荒れる中、ソウル大学生が拷問中に死亡。警察は「心臓まひ」と偽り葬り去ろうとしますが、権力に屈しない検事と真実の報道を追求する記者達によって、真相が明るみに。これにより、民主化闘争は韓国全土に燃え広がります。
間接選挙制で政権の永続をもくろむ政権と野党・市民の対立は激化します。アメリカの圧力も加わる中で、全斗煥大統領は軍の出動を断念。全国で100万人以上のデモが続く中で、大統領直接選挙制を骨子とした事態収拾案を受け入れ、軍事独裁政権は終わりを告げます。
●軍事独裁政権の恐怖を、いやというほど見せつけられます。でも韓国の民衆は屈しません。
チャン・ジュナン監督は「1987年に韓国市民がいかに純粋で美しかったか、小さな真実が歴史を動かしたという事を、今の韓国社会に振り返ってもらいたかった」と語っています。
●韓国民衆の勇気に感動しながらも、拷問死させられる学生、催涙弾を頭部に受けて崩れ落ちる学生運動リーダーの姿が辛くて、胸が詰まります。輝いているはずの人生が無残に断たれたのですから。
こんな犠牲を強いられる時代に至らせないという思いが募ります。日本も安倍政権の下で、その一歩手前。他人事ではありません。
「タクシー運転手」で描かれた光州事件を通じ、軍隊は国民を守るのではなく国民を殺す、という事を実感しましたが、独裁政権も独裁を守り続けるために、ウソをつき続け国民の命を踏み潰していきます。
権力を集中させることがどれほど危険なものであるかを、思い知らされます。
●時代をつなぎ続けた平和活動家たち、真実の報道に命を懸けたジャーナリスト、立ち上がった学生、ウソを許さない法律家、そして100万を超える隊列……胸が熱くなります。
引き比べて日本は、という問いも頭を離れません。
光州事件、続く全斗煥の軍事独裁政権を経て、あのキャンドルデモで大統領を変えた韓国の民衆が、輝いています。(2018.10)
※映画「1987、ある闘いの真実」は横浜シネマリン等でただ今上映中です。