●いのちのとりで裁判全国アクションの主催で11月15日、標記の集会が行われれました。最初の講演は木村草太首都大学東京教授。
2013年の保護基準の引き下げを問題としました。「生活扶助手当の基準額算定に際し、受給資格がありながら申請しない世帯・できない世帯(生活保護以下の生活を強いられている)を含む生活費を比較の対象としている。これでは最低限度の生活の保障にならない」と。
また物価下落率を試算対象に入れているのも不当であると。現在、消費水準均衡方式を用いていますが、これには既に物価は反映されていますから、二重に引き下げられていると指摘。
「当時、自民党議員も加担した生活保護バッシングを背景にし、意識的な切り下げが行われたのではないか」「25条にうたわれた生在権を貫けるか否かには正義がかかっている」と結びました。
●特別報告「生活保護世帯の大学生の現状と課題」を桜井啓太さん(名古屋市立大学講師・元堺市ケースワーカー)から伺いました。
現在、生活保護世帯の子どもの大学進学は認められていません。進学すると子ども分の支給額は減額となります。そのうえ子どもは、学費や生活費を自分で賄わなければなりません。その結果、生活保護世帯の大学進学率は19.2%(一般家庭53.9%)にとどまっています。
国会などでも取り上げられ、変化は見られますが、桜井氏は「大学へ行っても打ち切られない生活保護制度を」と訴えました。
そもそも、生活保護世帯とその子どもの教育を受ける権利は別物だろうと私は思います。27条が問われなければいけません。
生活保護の内容という点でも、貧困の連鎖を断ち切るためにも「世帯分離」なしの大学進学=「世帯内修学」が当たり前に認められるべきです。
●当事者からの発言もありました。私は次の予定のために、残念ながら聴けませんでしたが、改めてこの国の政治が情けなく、怒りを抑えられません。
大学学費補助や給付制奨学金の充実ももちろんですが、それとともに生活保護を丸ごと権利としてとらえなおすことが必要です。ごく一部の不正受給などを用いたバッシングを蔓延らせることなく、人間として生活できる生活保護を確立しなければ、と思います。
また政治のあり方も変えなければいけません。アメリカいいなりで不用不急の武器購入を約し、一方で最も弱い国民の給付費を削減しようとする政府の低劣さを変えなければなりません。(2017.11.15)