●崔江以子(チェカンイジャ)さんと「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の方々が、8月31日、県議会各会派を訪れました。
私は、ヘイトデモが行われると聞けば「あーそんなこと許したくない」という思いで、何度かその現場に足を運んでいます。度々デモ申請に対する許可や警備のことで警察への要請にも行っています。集会などでチェさんのお話も聞いています。ですからある程度事情はわかっているつもりでいましたが、今回身近に懇談すると、今まで以上に、ヘイトのひどさ・ヘイトを受ける側の苦しさがひしひしと伝わってきました。
●7月16日の中原区で行われたヘイトデモの後、彼らはネットで「勝利宣言」をしています。いわく「神奈川県公安委員会はデモの申請を日本国憲法に照らして許可をした」「我々の勝利であり、今後も川崎において憲法で保障された自由な活動を継続する」「何をやっても無駄だよ。ざまー見ろ!表現の自由万歳」
これ以外にもここで紹介するのも憚(はばか)られるような、チェさんへの攻撃や口汚い言葉、不当な言葉が飛び交っています。この攻撃にさらされる人の苦痛や恐怖を思うといたたまれません。
ネットの攻撃は、デモに比べれば日常的に、かつプラカードより自由にできてしまいます。削除要請が追いつきません。
●7月16日のデモは300メートルでしたが、300メートルの意味がよくわかりました。
「警察の許可を得て行った」ことを最大限ネットで宣伝し、「日本国憲法がこれからも守ってくれる」と豪語することができるのですから。本来のデモの姿である「沿道の市民に訴える」なんてことはできなくても、彼らにとっては問題にならないのだろうと思いました。
とはいえ象徴的な存在として、デモはあります、だからデモを繰り返します。7月16日を再現させてはいけないとつくづく思います。
ヘイトデモもネット攻撃も行われてしまうと被害は深刻で回復困難です。事前規制が切実に望まれます。
●人間にこのような攻撃が繰り返される社会は、健全であるはずがありません。直接的な被害者だけの問題ではありません。
津久井やまゆり園事件に象徴される障がい者への偏見、アメリカで起きている白人至上主義をめぐる問題、これらを想起しながら、さらに朝鮮人虐殺をめぐる東京都知事の新たな言動も思い浮かべずにいられませんでした。
神奈川県議会でできる事、県政が行わなければいけない事、人間の力でできることを精いっぱいやらなければ、という思いでチェさんと握手を交わしました。チェさんが晴れ晴れと笑う姿を早く見たいものです。(2017.8.31)