【福島第1原発事故により、神奈川県で避難生活を余儀なくされている方々とお話する機会がありました】
●様々な困難がありますが、当面する切実な課題の一つは住宅です。
政府は昨年、2017年3月までに「帰宅困難区域」を除く全域の避難指示を解除することを閣議決定しました。また福島県知事も、避難指示区域外からの避難者に対する住宅の無償提供を3月で打ち切ることを、表明しています。
ところがこれらの地域は、依然として帰宅できる状態ではありません。汚染水は漏れ続け、除染作業による高濃度放射性廃棄物は、いたるところに山積みとなっています。放射線管理区域を大幅に超える汚染地域が広がっているのです。
●この状態で、住宅無償提供の打ち切りは、「子どもの健康を守るために二重生活に耐え必死に生活している人たちの命綱を切るに等しい」と皆さん仰っていました。
生活のために、健康リスクを覚悟して父親が福島に残り仕事をし、母子が避難生活というケースは多くあります。二重生活は精神的にも経済的にも負担が大きいことは言うまでもありません。
●国には、「原発事故の実態を踏まえた長期無償の避難者住宅の提供」を求めつつ、神奈川県においても県独自の住宅支援策を作ってほしいとの切実な声が寄せられました。現在神奈川県内への避難者は3000人を超えています。
●原発事故で多大な被害を受けたうえに、国の容赦のない住宅明け渡し政策で、生活を破壊されようとしているのです。この国の政策の在りようが、一番つらく悲しいとのことでした。
国と電力会社により突然人生を変えられた人々に、可能な限り寄り添った政策が、神奈川県にも求められていると思います。(2016.5.19)