●定例の武蔵小杉駅頭宣伝、私は4月12日に行われた自民党大会を中心に訴えました。見過ごせないことが多くあったからです。
以下に記した全てを語ったわけではありませんが、この機会に問題を整理してみました。
●その1;高市首相は「時はきた。『改正の発議にめどが立った』と言える状態で来年の党大会を迎えたい」と、一年間で国会発議が可能な状態にする決意を示しました。
同時に「議論のための議論ではなく、行うべきは決断のための議論だ」と議論の打ち切りも辞さない態度をあらわにしました。「衆参両院の憲法審査会に、改憲条文の起草委員会を設置し、国会提出をめざす」という運動方針案も採択しています。
世論調査でも改憲を望む国民は5%、多くの国民が望んでもいない憲法改定を自民党が時間を区切って強権的に行う、私は恐怖を覚えました。「議席数316の今なら何でもできる」といわんばかりです。
●その2;首相はこれまでも「憲法は国の理想を物語るもの」と言ってきましたが、大会でもこの言葉を繰り返しました。続けて「私たちの物語を、理想の日本国を、文字にして歴史という書物の新たなページに刻もうではありませんか」と意味不明の言葉を自己陶酔気味に語りました。
「憲法」が「歴史という書物」にすり替えられています。しかも「私たちの物語」とは何事か! 自民党と国民を「私たち」という言葉でくくるな! 憲法は自民党の日記じゃない! と、私は怒りを覚えました。
憲法の大きな役割は二つ。一つは「国家の権力を制限する」、もう一つは「国民の権利を保障する」ことです。これらの基本的な観点抜きの「国の理想」が語られるのでは堪ったものではありません。
●その3;陸上自衛隊中央音楽隊の現役自衛官が大会に招かれ、参加者の国歌斉唱をリードしました。
自衛隊法61条には「隊員は(中略)選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」と記されています。自衛隊法施行令87条には禁止される政治的行為として17類型が示され、その中で抵触すると思われる項目は「一 政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること」です。
ここで疑問が残るのは「政治的目的のために」です。同施行令86条は政治的目的として8項目を挙げ、いずれも当該人が政治的目的有することを要件としていますが、自衛隊法や国家公務員法の趣旨に照らせば必要がない要件だと思います。というのも自衛隊などの中立性が問題となる際、行為の当事者が意図を持っていなくても、客観的に影響を与える状況であれば問題は生じます。ところが「政治的目的を有していたか」を判断の要件にするならば、「有していなかった」と言えばすべて免罪されてしまいます。何よりもこの問題では実際の害悪が生じることが問題であって、当該人の意図を問うことではないのですから。(ということでこの点は、保留)
自民党は、「私人としての参加だから問題はない」としていますが、到底私人とは言えない状況でした。自衛官として紹介され、特別儀じょう演奏服を着用していました。
自衛官服装規則6条には「常時制服を着用しなければならない」と記され、この趣旨は「制服を原則常時着用とすることで、自衛官が公務員として行動していることが一目でわかるように」と解釈されています。制服は統制に服していることの象徴ですから、言ってみれば限定的な私的行動以外は、自衛官として行動せよということです。
更に自衛官服装規則13条には、今回着用していた特別儀じょう演奏服を着用できる場合を定めています。一つは国賓等の送迎、二つ目に自衛隊の礼式、三つ目に防衛大臣が指示する場合となっていますから、私人としての行為で勝手に着用するなど不可能です。
政治と自衛隊とのかかわりが厳しく制限されているのは、軍部に引きずられて戦争を拡大させた戦前の苦い経験からの教訓です。また公務員は「全体の奉仕者」として特定の政党と結びつくことを禁じており、実力組織である自衛隊にはとりわけ厳格さが求められています。
どの角度から見ても、今回の自衛官の参加は問題があります。これを易々と許した首相と防衛大臣そして自衛隊の節度を失った状態は恐怖です。(2026.4.14)


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