君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
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自らの行動規範にも反する日立 |君嶋ちか子|神奈川18区|前県議会議員

2025年10月9日

●「日立の継続雇用差別と闘う村田さんを支援する会」が、電機情報ユニオンと共催で「日本NCP学習会」を開催。

日本NCPとは日本ナショナル・コンタクト・ポイントの略で、多国籍企業の行動指針に関する日本の連絡窓口を意味します。

2024年11月村田さんは、「日立の継続雇用拒否は人権侵害に当たる」として、日本NCPに問題提起をしました。2025年4月、正式に受領の通知がありました。7月には、日立から「日本NCPへの問題提起に対する当社意見書」が日本NCPに提出されています。

●このような中で、「『雇用差別自由社会』を許さない大義ある闘い」と称して、筒井晴彦さんからお話を伺いました。

▲高齢者雇用安定法は「事業主が高年齢者雇用確保措置として、継続雇用制度を導入する場合は、希望者全員を対象としなければならない」と。

「心身の故障のため業務に堪えられない場合、勤務状況が著しく不良で勤務に堪えられない場合は継続雇用しないことができる」とされていますが、「継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上の相当性が必要」とされています。

ですから厚生労働省は、今回の日立の村田さん・田中さんに対する対応は、「恣意的な一部高年齢者の排除を可能とし改正の趣旨に反する」との見解を示しています。

▲「ビジネスと人権」の発展

*国連「グローバルコンパクト」2000年

 原則1:企業は国際的に宣言されている人権の保護を支持・尊重すべき

 原則2:企業は自らが人権侵害に加担しないよう確保すべき

*国連「保護・尊重・救済の枠組み」2008年

 人権侵害から被害者を救済するための国家の義務

 人権を尊重する企業の責任

 人権侵害を受けた被害者の救済  を明記

*国連「ビジネスと人権指導原則」2011年

 上記に関わる31の原則を示す

*国連「ビジネスと人権国際条約案」2018年

(1)国の義務

(2)企業の責任

(3)人権侵害の防止

(4)人権侵害の救済

(5)国際協力(ビジネス活動とりわけ多国籍的性格を有する活動に起因する人権侵害の防止と軽減のために、また被害者救済のために相互支援と国際協力を促進し強化する)

▲「ビジネスと人権」の新展開(労働者・市民が主人公)

▲国連「訪日報告書」から

2023年夏、企業活動が人権に与えている影響を12日間にわたって訪日調査した国連「ビジネスと人権」作業部会の日本に関する報告書が国連人権理事会に提出されました。その内容を以下に。

*高齢者に対する差別的雇用慣行が存在する

 ・65歳以上高齢者の70%以上が非正規

 ・60-65歳の賃金が、それまでと同様の仕事であっても引き下げられている

 ・他のOECD諸国と異なり年齢差別禁止法が存在しない

 ・高齢者の労働権のための政策が必要

▲国連「高齢者の人権享受独立専門家」報告書

当報告書が、2025年の国連人権理事会に提出されています。

 ・日本は高齢者の労働参加率が最も高い国の一つ

 ・65歳以上の高齢者の70%以上が非正規

 ・60-65歳の賃金が同じ仕事でありながら引き下げられている

 ・病気やけがをしやすい高齢者への保護が欠如している

 ・差別禁止法がない下で、高齢者は労働市場において差別に直面

▲OECD「多国籍企業行動指針」Ⅳ.人権

1 人権を尊重する(尊重の意味:人権侵害を避ける 人権への悪影響に対処)

2 人権侵害を避け、影響が生じた場合には対処する

3 直接の関与だけではなく、取引関係においても、企業の事業活動に結びついている場合には、人権への悪影響を防止しまたは緩和する方法を模索する

4 人権を尊重するための政策的コミットメント(誓約・公約)を行う

5 リスクの重大性に応じて適切に人権デュー・ディリジェンス(人権侵害防止のための調査・対策)を実施する

6 企業が人権への悪影響を引き起こすあるいは一因となった場合は、企業は悪影響からの救済において正当な手続きを提供するかそれを通じた協力を行う

▲OECD「多国籍企業行動指針」Ⅴ.雇用及び労使関係

1 労働者が労働組合等の代表組織を有する権利を尊重し、また党外代表と建設的な交渉を行う

2 雇用における機会及び待遇の均等原則にのっとるとともに、人種・皮膚の色・性・宗教・政治的見解等その他の状況に基づき、労働者を雇用又は職業において差別をしない

▲各国NCPの評価

国際NGOの「OECD Watch」は、各国NCPのパフォーマンス評価結果を発表。40の指標で38か国のNCPを評価した結果、日本NCPが遵守できているのは18指標にとどまった。

▲日立グループ企業倫理・行動規範から(年齢差別禁止部分抜粋)

(1)本行動規範は(中略)日立に勤務するすべての人に適用されます。

(2)国際的に認められた人権が当該国の国内法により尊重されていない場合には、日立は、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求していきます。

(3)雇用機会均等を推進する。差別は、日立では絶対に受け入れられず(中略)以下の特徴に基づいて、応募者、従業員、またはビジネスパートナーを差別してはいけません。年齢、市民権、肌の色(後略)

●厚労省から、高齢者雇用安定法改正の「趣旨に反する」と言われ、国連の各組織から「高齢者は差別に直面している」といわれ、OECD「多国籍企業行動指針」にも反し、そして何より自らの行動規範にも反する行動をとり続ける日立。

居直りを続ける日立を「反社会的な行動は自らを貶める。人権尊重を行為で示せ」という世論で包囲しなければ。(2025.9.28)

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