●2月に現役自衛官のセクハラ訴訟について学習会を行い、被害者を攻撃し加害者をかばう自衛隊組織に驚きました。その裁判の第10回期日が3月27日にあることをその際に知り、日程を確保しておきました。
以下は、原告をめぐるごくごく大まかな流れです。
*原告は2010年入隊。着任早々Aからのセクハラ発言が続く。
*2012年には、原告の交際相手との性交渉にまで言及するセクハラが。
*2014年、二次加害ともいえる原告の名前を出したセクハラ研修が行われ、職場では厄介者扱い。同僚からのパワハラも加わる。法務班に相談するも個人の問題は取り上げないと無視される。
*2016年、セクハラ認定を求めてAを提訴。法務班はAをサポート。
●原告の本人陳述から始まりました。
医師から重度のPTSDと診断されている。自分自身に嫌悪感を感じ、人格乖離に悩まされている。男の子を引き取り母子家庭として生活している夢を何度も見る。乖離は自分を守るための現象と言われている。PTSDは一生治らない。
職場では嫌がらせの連続だった。身体や性生活についての罵倒が繰り返され、常に歯を食いしばって生きているような状態だった。興味本位で私を見に来る隊員さえいた。
一方で、加害者はなぜここまで守られるのか。
●続いて武井弁護士の意見陳述。
意見書は40年以上の蟻塚医師の臨床研究の果実。性被害・セクハラ被害・DV被害・被災者・戦争被害者などの共通点についての意見書と言える。心を寄せる全ての方をつなぐものと確信している。
心的外傷は見ることができないが、原告においては不眠や吐き気フラッシュバックなどに苦しめられる状態が、12年前のセクハラ発言以来続いている。
蟻塚医師の診断は、第一に急性ストレス障害とそれが続いた結果のPTSD、第二に解離性障害(心に深い傷を受けたことにより、自我が分裂)、第三に交感神経興奮状態による過覚醒、第四に複雑性PTSD 、第五にこれらによる慢性的な心身不調。
この間組織は、原告の訴えを受け止めるのではなく、原告の名前を出し、加害者の名前は伏せたセクハラ教育を行うことにより二次被害を生み出し、またセクハラの成立を否定し、原告が勝手に騒いでいるとの印象を他の隊員に植え付け、原告にとっては「加害者が2000人」という状態をつくり出した。これらによりセクハラ時から症状はさらに悪化。
意見書は「重症の乖離が生じているのも、原告の性暴力被害を自衛隊組織が適正に受け止めることがなく、必要な労働環境の調整を怠り、医学的なケアを行わなかったことによる」「身体的症状については、今後うつ病や免疫力低下によるがんや白血病慢性疲労症候群などに罹患する可能性が高くなる」と指摘している。
私たち司法関係者は、セクハラ被害についてこれらの科学的見地を虚心坦懐に受け入れなければならない。そうでなければ、司法の判断は非文明的で野蛮なものとなるだろう。
●終了後の集会で。
原告の挨拶。
多くの方の傍聴に感謝。被告が入廷し傍聴席を観たときの被告の動揺は明らかだった。傍聴は確実な力だ。まだたくさんの仲間が苦しんでいる。皆さんの力を是非お借りしたい。
元隊員の被害者からの訴えや他の自衛隊訴訟に関わる弁護団からの訴えも。
弁護団の角田弁護士も一言。
武井弁護士が最後に裁判官に訴えた点はとても大切。司法界はPTSDの科学的把握が十分ではない。今後しっかり位置づけ、互いに学んでいく必要がある。
●私は午後事務所当番などがあり、報告集会や院内集会には参加できませんでしたが、傍聴と短時間の終了後の集会だけでも、密度の濃い時間でした。
陳述では触れていませんでしたが、原告は2019年に「裁判に組織の文書を提出した」として情報流出の容疑で警務隊に告発されています。こんな異常を含め、被害者である原告は守られないだけではなく、さらなる確信犯的攻撃にさらされるのです。なぜここまでの異常がまかり通るのか。日本社会の封建制に根付く女性や弱者に対する支配欲とともに、実力組織である自衛隊特有の問題があるのではないかと。
とはいえ、防衛省は国の機関です。公務の職場でこんな無法がまかり通るのかと暗澹たる気持ちになります。
また、武井弁護士や角田弁護士が強調されたPTSDの深刻さも多くの人が知らなければなりません。性暴力やセクハラの被害は、時間が経っても癒えることがなく、身体罹患まで引き起こすリスクを負っています。まさに人生を変えられてしまったのです。(2025.3.27)