君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

マイナンバー制度の行方 |君嶋ちか子|神奈川18区|前県議会議員

2024年11月20日

以下は、ある集まりでお話しするためにまとめた内容です。

制度は矛盾をはらみ、とりわけマイナポイント事業と健康保険証廃止が愚策過ぎます。

*******

【政府のデジタル化において大きな位置づけ】

マイナンバー制度の推進(健康・医療・介護・運転免許証・在留カード・年金・税等々)

骨太方針2024:「政府を挙げて医療・介護DXを確実・着実に推進する」

【マイナンバーカード利用実態は】

●別人の情報が発行される、入金が別人の口座に振り込まれる等トラブルの多発

●マイナンバーカード利用実態調査(株式会社ノートンライフロック)

*カード取得者の6割、「マイナポイントを取得したくて」

*カード携帯者の5割、身分証明書として利用

*カード携帯者の4割、紛失や不正利用を懸念

*調査対象者の51.1%、「1枚のカードに個人情報が集約されている制度が信頼できない」

●マイナ保険証利用率13.8%(9月末)

【基本的な設計上の問題・・・情報システム学会2023年10月10日提言】

●設計不良の根源的要因

*実現したいことが多すぎ、目標が曖昧なままシステムを設計

*多くの機能を1枚のカードに入れ込んだ

*運用面や利用場面への考慮がないままシステムを設計

*本人確認の三つの機能(「身元確認」「当人確認」「真正性確認+属性情報確認」)を1枚のカードに入れ、さらに保険証や運転免許証の一体化を進めている。

●券面記載の個人番号は秘匿すべきなのに、身元証明書として常時携帯が求められ、高齢者施設などでは他人に預けるなどセキュリティ上も重大な懸念。

●交通違反の減点管理などの運用も複雑なため、運転免許証との一体化は進めるべきではない。

●解決策:三つの本人確認機能を分離し、ユーザーや運用面まで考慮し再設計すべき。

【医療DX(Digital Transformation)】

●厚労省: 保健・医療・介護において発生する情報をデジタル技術によって外部化・共通化を図り、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変える。

●実質的なねらいは:

①給付と負担のコントロール(=給付抑制)をめざす。

②医療・健康関連企業の儲けの場(=医療等の市場化・産業化)を視野に。

*さらに、マイナ保険証はマイナンバーカード普及のための道具にも

*このような位置づけがあるマイナ保険証とマイナ免許証との扱いの違い

マイナ免許証は現行免許証との併用、マイナ保険証は、現行保険証を廃止。

【保険証廃止、医療現場への影響】

*カードリーダーや回線導入などの経済的負担

*業務上の負担増大(現状の低利用率でも約7割の医療機関がマイナトラブルを経験)

*マイナ保険証で認証エラー続出、10割負担も

*医療DXに対応できないとして閉院に追い込まれるなど、地域医療の崩壊に拍車

【マイナ保険証導入策=マイナポイント事業】

*20年7月以降で1兆3779億円(計上1兆8134円)、マイナポイント・CM等

*マイナ保険証を増やした医療機関(40万円)や薬局(20万円)への支援金217億円

●国民が納得していない制度に多額の税金を用い利益誘導する。政策の進め方としても、予算の使い方としても甚だしい誤り。

【マイナンバー、他国では】

*イギリス: 国民IDカード法を、人権侵害や巨額の浪費の恐れがあるとして廃止。

*ドイツ: 行政分野ごとの番号を使用。番号の共通化も検討されたがプライバシー侵害を懸念する声が強く実現せず。

*フランス: 分野ごとの番号使用。統合に向けた動きはあるがセキュリティ対策に懸念。

*韓国: クレジットカードの番号から住民登録番号まで一つの番号で管理。民間企業もこの番号の利用が可能。2014年には預金関連の情報1億4000万件流出。企業にとってはマーケティング材料。

*アメリカ: 個人のすべての情報が社会保障に紐づいており、年金の不正受給やID売買問題などが起きている。

【雇用分野とマイナンバーの現状】

*雇用保険手続きにおいて、マイナンバーの記載は、事業主の努力義務。不記載の場合でも雇用保険手続きの届け出を不受理にはしない。

*雇用保険の受給手続きの際、本人確認書類として使用しているが、マイナンバーカードを持たない場合は他の書類でも可能。

●現状では、職業相談や雇用保険手続きにおいて、大きな影響はない。

●だがアメリカなどでは雇用管理にプロファイリング(個人情報を収集し評価等級化などを行う)が使用され、配置・昇格・解雇などの資料としている例もある。

【強引なデジタル社会推進に対抗】

*健康保険証の廃止撤回・マイナカード取得の強制を許さない

*個人情報保護制度の拡充

*デジタルとアナログの選択を可能とする

【本年12月2日以降】

*健康保険証の新たな発行は停止

*有効期間中はこれまでと同様に使用

*それ以降、マイナ保険証を持たない人(4700万人)には資格確認書を発行(マイナ保険証の登録をしている人は解除が必要)

●反対や不安の声を受け、政府の対応も次々と変化、資格確認書はもはや「現行の保険証と変わらず」=政策の矛盾顕著に。(2024.11.17)

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