君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

広き流れに」出版祝う会 |君嶋ちか子|神奈川18区|前県議会議員

2024年8月22日

●NEC関連会社の不当な解雇を跳ね除けた伊草貴大さんの闘いを描いた小説「広き流れに」の出版を祝う会が8月18日に行われました。

●2014年、NECディスプレイソリュ―ションズに入社した伊草さんは、宴会でセクハラを受け、それをきっかけに2015年12月適応障害の診断を受け、12月18日には5人がかりの宙づり状態で職場から排除されました。その後医師の職場復帰可能との診断にも拘らず復職を阻まれ、会社は2018年には「休職期間満了」を理由として解雇しました。

伊草さんはこれを不当として、2019年1月不当解雇撤回と慰謝料を求める訴訟を横浜地裁に提訴し、2021年12月「地位を確認する」との勝利判決を勝ち取りました。

この闘いは、最上裕さんにより赤旗に連載され、この度単行本として出版された次第。

●作者の最上裕さんは、NECの労働者でした。挿絵を担当した竹田征三さんもかつて東芝の労働者。

他の参加者――民主文学の仲間の方や作家や評論家の方も労働者であった方が圧倒的でした。私の隣の席のトランペット奏者の松平晃さんも、無遅刻無欠勤のNEC労働者でした。

多くの方が争議なども抱えながら、労働現場を愛し労働者であることに誇りを覚えながら、芸術への思いを熟成させていったのだろうと思います。

いずれも人間として生きた証だと思いました。その生き方を奪おうとするものを許さないという誇りが、人生を貫いているのではないかと思いました。

参加していた電機・情報ユニオンの方々(伊草さんの闘いをともに作り支えてきた)や私などは芸術の場に身を置いてはいませんが、思いは共有しています。その思いは、やはり「人間としての尊厳」でしょうか。

●私は挨拶で、活動家でもなかった伊草さんがなぜ排除されたか、たまたまの上司の気まぐれでセクハラに会い、苦しむ伊草さんは、その後も含め会社の横暴に流されなかったこと、長く続いた連合と企業の労働者を人間とみていない職場支配は、抵抗する労働者の排除に走ったのではないか、「ビジネスと人権」をこの日本で根づかせたいなどとお話ししました。

伊草さんは、「こんな理不尽なことが許されていいはずがない」と闘いに立ち上がり、職場復帰までかち取りました。職場復帰は実に貴重な足跡です。伊草さんを貫いていたのもやはり、人間としての尊厳だったのではないでしょうか。

●挨拶の中で私は最上さんに二つの質問をしました。一つは会社の醜さなどもリアルに描いており、まだ復帰間もない時期に大丈夫かなとはらはらしたが、対企業はどんなスタンスなのか。

二つ目には、様々な場面や心理描写も豊かに描かれていたが、どのような取材でこれが可能になっているのか。

二つ目は言及がなかったのですが、一つ目の問いには挨拶の中で、「自分も躊躇もあった。でもやはり描くしかない。会社から物言いがあれば、その時には対峙するしかないと腹をくくっていた。事実なんだから」と。

とても示唆に富む祝う会でした。(2024.8.18)

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