●市民劇場6月例会は、文化座の「命どぅ宝」。
舞台は最初から瀬永亀次郎(せながかめじろう)さんが登場します。そして阿波根昌鴻(あはごんしょうこう)さんも。
伝説の二人が登場し、人間の闘いの本質を語ります。
●瀬長亀次郎は、1947年に沖縄人民党を結成。米軍全面占領下で祖国復帰を唯一訴えてきたのが沖縄人民党。
1952年発効のサンフランシスコ平和条約は第3条で、沖縄を日本から切り離し永続的な米軍統治を可能にしましたが、60年の沖縄県祖国復帰協議会の結成、68年の三大選挙での復帰勢力の勝利をへて、1972年の施政権返還に至ります。
人民党は1973年に日本共産党に合流しています。
舞台でも、彼の有名なセリフが語られました。「瀬長一人が叫んだならば50メートル先まで(中略)沖縄の90万人民が声を揃えて叫んだならば太平洋の荒波を超えて、ワシントン政府を動かすことができます!」
●阿波根さんは、伊江島の農民。戦後米軍の強制土地接収に反対する運動の先頭に立った方。沖縄のガンジーとも呼ばれました。「何度でも言います」と語り続けたことばが「命どぅ宝」。
●命を何より大切にし、占領からの独立を願う、人民の声が権力を動かす、いずれも民主主義の根幹だと思います。
唯一の地上戦となった沖縄、戦後の全面占領、日本で例を見ない辛酸をなめた沖縄が生み出した活動家たち。この二人の英雄だけではなく無数の沖縄の人たちが創り出す闘いは、限りなく私たちを勇気づけます。
●日本に復帰以降も、沖縄の悲劇は続いています。
日本全土の約0.6%に過ぎない沖縄に、日本の米軍基地の約7割が集中し、爆音等の被害とともに事故や米兵による事件が絶えません。今も辺野古新基地建設が強行されています。
米議会の諮問機関の報告では、「沖縄の米軍基地が核兵器による先制攻撃の標的になる」可能性を指摘しています。
いつまで沖縄に負担を強いるのかと胸が痛みます。日本政府のアメリカ言いなり、一方で沖縄への非情、どこの国の政府かと思います。
本当に悲しく悔しいですが、でも人は追いつめられると雄々しく立ち上がるものなのでしょうか。沖縄の人たちは、困難に出会う度に高らかに闘いを宣言します。
しかも歌と踊りとともに明るく暮らしながら。人と人の触れ合いも本当にあたたかいと思います。(2024.6.10)