君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

まちづくりフェスタと「百年の贈り物」 |君嶋ちか子|神奈川18区|前県議会議員

2024年5月27日

●土曜日・日曜日と多くの取り組みが交錯しました。

18日は事務所バザー、合間を縫って参加した18区市民の会宣伝行動、夜は映画「教育と愛国」の上映。19日は多摩川水害学習会、まちづくりフェスタ川崎郷土市民劇、総研理事会と続きました。

●まちづくりフェスタは、第29回を迎えます。「きれいな空気と生きる権利」を求めた1982年の公害裁判は、画期的な和解を勝ち取りました。その後、「公害病患者と家族の会」は、公害の根絶・環境再生・街づくりなどに取り組み、1999年以降「公害・環境・まちづくりフェスタ」を開催しています。

フェスタには実に多くの団体が参加しており、川崎の市民の歴史と実力を感じさせます。多くの団体の活動に心から敬意を表します。私の川崎自慢の一つです。

今年中原区から新しく参加したのが、私も一員である「西加瀬巨大物流倉庫を考える住民の会」です。「住宅密集地に巨大物流倉庫はやめて」と粘り強い取り組みを進めていますが、他区の皆さんにも広く知ってもらう場となりました。

●この日は、前後が詰まっていて本当に駆け足でした。もっとじっくり見たい展示もお話伺いたいテーマもたくさんあったのですが。

様々な資料を、とりわけ「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」の方からは、リニアの資料をたくさんいただいてきました。持ち帰りの宿題です。

●さて午後は、「川崎郷土・市民劇」です。こちらは2006年から2年ごとに行い今回で9作品目となります。川崎の歴史を紡いできた人に焦点を当て、小川信夫さんが書き続けています(第8回は昨年突然亡くなった和田庸子さん)。山田太一さんはじめ、多くの方が終始支えてきました。

演劇の専門スタッフの存在はありますが、出演は市民の参加が特徴です。今回は公募の市民39人が参加しています。

●今回の劇は「百年への贈り物―川崎市誕生物語」で、初代市長となった石井泰助氏を取り上げています。

川崎町には水道設備がなく、1886年のコレラ流行時には60人罹患し40名が死亡、清潔な水道水が切実な願いでした。

川崎町長であった石井氏は上下水道敷設計画を立て、資金確保めざし各企業にも協力を呼びかけます。1916年には水道事業に専念するために町長を辞任したというのですから、彼の情熱のほどが伝わってきます。1921年に完成した水道敷設は、その後の発展に大きく貢献しました。

●石井氏のもう一つの夢は、工場招致。

招致により、横浜精糖(のちの明治製糖)、東京電気(のちの東芝)、富士瓦斯紡績が1904~1905に開業しています。招致にあたり氏は、自らの土地を含め地元有力者の協力を得て、莫大な土地をまとめ上げ、坪一円という安価な価格で売却しています。川崎町全員協議会では、「工場誘致は百年の町是」との決定をしています。1917年に鈴木商店(のちの味の素)が逗子から移転したのをはじめ多くの企業がこの地で開業します。

1924年には、川崎町・大師町・御幸村が合併し川崎市が誕生します。初代市長となった石井氏は、さらに田島町を編入し、川崎市を臨海部にまで広げ、「工業港湾都市」の形成を目指しました。

●石井氏の業績の内、工場招致と「工業港湾都市」については、今につながる問題として評価が分かれると思います。

これらの詳細な分析はしていませんが、一般的に街の発展を願うという点から、工場や施設の招致はあり得ると思います。

私は、現在の川崎市の臨海部に偏重した多額の税金の用い方や、神奈川県の破格の優遇策を用いた企業誘致策には反対をしてきましたが、当時の川崎町において地の利を活用した振興策はある意味自然だろうと思います。問題は市民の生活とのバランスです。

現在の川崎市が市民の暮らしには「財政不足」を振りかざし、臨海部に湯水のようにお金を注ぐことは、明らかにそのバランスを欠いています。

また、神奈川県は現存する多くの中小企業にはわずかの補助しか用いず、一方県外からの誘致策には大きな力を割いてきました。私は当時県議として、県内に既にある中小企業補助の強化ととともに、誘致企業への過度な優遇策をやめること、県内雇用を義務付けることなどを求めてきました。

現在の問題とは区分をしながら、およそ100年前、川崎市が形作られる頃に情熱を注いできた石井氏のロマンに思いを馳せました。(2024.5.19)

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