●三人の弁護士の呼びかけによる共同親権反対アクションが2日間にわたり行われました。
4月30日武蔵小杉駅連絡通路、5月1日桜木町駅で。
30日には、水野素子参院議員、福島みずほ参院議員、1日は水野素子参院議員と山添拓参院議員が参加。
共産党は、はたの君江前衆院議員と君嶋が両日参加。
チラシの受け取りは良好。
離婚後共同親権を導入する民法改定案が4月16日、自民・公明・立民・維新の賛成で衆議院を通過しました。立民の修正案「双方の合意がない場合は共同親権は認めない」は、盛り込まれませんでした。共産党は反対しました。
●共同親権導入の大きな問題の一つは、子の行為に関わり、別居親の合意が必要とされること。転居・進学・転校・入院・手術等々、別居親との合意に達しなければ行為に及ぶことができません。
「急迫の事情」がある時や「日常の行為」は同居親が単独で決めることができるとされていますが、このいずれも範囲が明らかになっていません。
国会答弁で示された例でいえば、「子どもが金髪にしていいかどうか」は同居親の判断だけでいいのですが、「金髪が校則に触れるようなケースにおいては別居親の同意が必要」という具合。
共同親権下であったならば、「我が子の留学も歯列矯正もできなかった。こどもの人生は変わっていた」との訴えがアクション参加者からもありました。
共同親権が導入された場合の深刻な問題の二つ目は、DVや虐待から逃れられないこと。
DVや虐待が明らかな場合は「共同親権」は認めないことになってはいますが、その証明はとても困難です。二人の言い分は異なること、証拠提示が困難な事が多くあります。その結果、共同親権が導入されるならば、まさに暴力からの逃げ道を塞がれる訳です。避難先を秘密にしておけないのは、恐怖そのものです。
●スムーズに親権の選択が可能な当事者には問題が生じることは少ないかもしれませんが、大きな問題をはらむのが「非合意型共同親権」。改定案は父母が合意していなくても、裁判所が「子の利益」の観点から共同親権を定めることができるとしています。
また共同親権で「合意」とされている場合でも、「離婚したいなら共同親権に」と迫られ、やむなく共同親権に合意する想定もされています。
これらのケースにおいては、上記二つの問題点が顕著に表れます。
●私がこのアクションのことをX(旧ツイッター)に投稿すると、共同親権に反対の方から同意する旨の反応も多く示されましたが、共同親権推進すべしの立場からの私への反論も多くありました。
現在の単独親権下で、母親同居が多くなっている実態がありますが、思うように子どもに関われない父親からの訴えが多かったように思います。
この類の訴えが、共同親権によりどの程度救われるか、という事が問題となります。子の連れ去りや、母親の虐待などが多い、だから共同親権というXが多かったのですが、私はむしろ逆ではないかと思います。
このような事態が生じているのは、離婚後の関り方についてそもそも合意形成が困難だったからだと思いますが、「共同親権」が持ち込まれることによって合意形成が容易になるでしょうか。私はそれどころか矛盾が激化するのではないかと危惧します。
それまで不十分ではあったとしても同居親と子の関係において成り立っていたものが、別居親の考えも加わり対立あるいは保留が増え、子の暮らしはより翻弄されるのではないかと思います。
連れ去りや虐待は対処が必要ですが、それは共同親権ではなくそれぞれのケースに応じた予防や対策が求められているのだと思います。
●長くなるので、ここでは養育費や面会交流には触れませんが、これらも含め、現在の単独親権の下でも法や体制の不十分さなどとも相まって、不本意なケースはあるでしょう。
でも検討されている「共同親権」はこれらをカバーするものではなく、むしろ明らかなマイナスを新たに生じさせるという点から、やはりやめさせなければと思います。
今回、X上で別居親の声を聴けたのはよかったと思います。SNSは発信の意義だけではなく、状況把握のツールになることを実感しました。(2024.4.30/5.1)