君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

日本の非正規労働者の労働条件が低位にあるのは |君嶋ちか子|神奈川18区|前神奈川県議会議員

2023年10月26日

●「川崎の男女共同社会をすすめる会」主催の学習討論集会に参加しました。ここは本当に久しぶり、コロナの前から日程的に参加できないことが続きました。

「非正規・中高年シングル女性の現状とこれから」と題し、14日は金井郁(かおる)埼玉大学教授のお話(「ジェンダー平等と雇用問題」)。金井さんの専門は労働経済論、ジェンダー論。

<非正規をめぐる政策>

*日本においては「家計補助的」な位置づけとして、低処遇を形作ってきた。(失業保険政策・パートタイム労働政策・男女雇用機会均等法など)

*ジェンダー平等で公正な「非正規雇用」が課題となる。

*日本の非正規化の特徴

 ・1990年以降急速に増大

 ・若年層の女性に偏っている

 ・2022年、非正規化に歯止め(高学歴若年層の非正規化が止まった一方で、中卒・高卒若年女性の非正規率高いまま)

<雇用保険加入問題>

*女性が多数を占めるパートタイム労働者は、長きにわたり被保険者として扱われてこなかった。

1950年通達「臨時的内職的に雇用されるものに対する失業保険の適用について」では、家計補助的なもの、臨時内職的に就労するものは適用対象としないと明記。

その理由として、①労働者とは認めがたい ②失業者となる恐れがない、を指摘している。

*90年代後半以降、派遣労働にけん引される形で適用拡大が進む。

<非正規労働者の適用拡大>

*2000年改正:年収要件が撤廃され、反復継続して就労しかつ一年以上雇用見込みがあるものについては適用対象とされた。(従来の週所定労働時間20時間以上という要件に加え)

*2003年改正:短時間労働被保険者と一般被保険者の給付内容(所定給付日数・下限額)を一本化)

*2007年改正:短時間労働被保険者資格を廃止。受給要件を一般被保険者に一本化。

*2009年改正:本人の希望に反して契約更新されなかった場合は、「特定理由離職者」として受給要件を緩和(離職の前一年間に被保険者期間6カ月以上あれば受給資格を得られる)

また適用基準も「一年以上の雇用見込み」から「6カ月以上の雇用見込み」に緩和。

*2010年改正:適用基準「6カ月以上の雇用見込み」から「31日以上の雇用見込み」に緩和。

<日本のパート労働政策>

*1993年:パート労働法成立(職業能力の開発・向上、福祉の増進)

*2003年:パート労働指針改正(正社員との賃金格差に言及)

*2007年:改正パートタイム労働法成立

*2012年:労働契約法改正

<日本の同一労働同一賃金の特徴>

*差別的取扱の禁止=均等待遇を規定(職務内容・契約期間・人材活用の仕組みが正社員と同一であること)

*上記により、「均等待遇」の対象とされない多くのパートタイム労働者が存在。

*均衡待遇「通常の労働者との均衡に考慮しつつ、パート労働者の職務内容・成果・意欲・能力・経験を勘案し、賃金を決定することに努める」

*雇用区分間で均衡を図る。

<他国の非正規に対する規制>

*ドイツ・スエーデン:常用代替禁止の原則に基づき、有期雇用には強い「入口規制」、有期雇用の設定には「客観的理由が存在する場合」に限定。

80年代後半以降、柔軟な運用に変更。現在は同一労働同一賃金原則による規制が主。

*アメリカ:非正規雇用の問題の多くは、低賃金労働問題としてくくられる傾向(正規雇用にも低賃金層が存在)。女性雇用差別禁止などには厳しい規制。

*日本では、入口規制・労働条件規制・差別禁止規制の三つともに欠如あるいは弱い。

<企業の雇用管理>

*労働者の「意思」や仕事に応じて雇用管理区分を変える。

*「意思」を聞くのは、女性のみ。

*「企業拘束的な働き方」(転居転勤ができる、残業などをこなし管理職を目指す)が能力・意欲とみなされる。

<ジェンダー平等で公正な「非正規雇用」>

*正社員の働き方の見直し⇒「働き方」による格差正当化の見直し

*男女間・正規非正規間の賃金格差を是正する法・政策強化

*「男性稼ぎ主」モデルに依拠した社会保障・税制の見直し

  

●以上が講演の主な内容です。非正規労働者の労働条件が低位にあるのは、女性の労働が家計補助的とみなされていたことに端を発していることがよく解ります。

この後参加者からの意見や質問など自由に出し合いました。

全体として、女性の生きづらさが語られました。

私は、「当面する非正規雇用の待遇改善は大切だが、非正規雇用は真に臨時的・一時的なものを除いて解消したい。細切れ雇用がいたずらに契約更新を重ねているのは本来恒常的に必要な仕事ということ。コスト削減のために非正規とされている。正規雇用が当たり前の働き方を確立したい」と発言しました。(2023.10.14)

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