君嶋ちか子

●石田；新型コロナウイルス感染症の５類移行について伺います。

首相は５月８日の「５類」引き下げを表明しました。

変更に伴う経済的負担により、治療を受けられない事態も生じかねません。診療報酬上の特例措置や病床確保料がなくなれば、コロナ対応の医療機関減少の恐れもあります。集中検査や定期的検査などが行われなければ感染拡大の恐れがあります。

１月、県のコロナ患者の死亡者数は記者発表で４３４人、福祉・介護施設でのクラスターも多発し、救急搬送も極めて困難になりました。

コロナの特性は変わっていないのに５類に引き下げるのは拙速と考えますが、見解を伺います。

仮に５類に移行したとしても、入院調整の実施、医療機関や高齢・障がい施設などでの集中検査の実施、感染不安のある方への無料PCR検査の実施を国に求めるとともに、国が実施しない場合、県として継続すべきと考えますが、伺います。

知事；新型コロナの５類見直しについては、生命及び健康に重大な影響を与える恐れがなくなったと国が判断したものであり妥当な決定と評価しています。

５類移行後も科学的な情報を皆様に提供していきます。入院調整については、５類移行後は原則として医療機関同士で行われますが、病床逼迫時には行政が支援できる仕組みを継続できるよう国に求めています。さらに高齢者施設等での集中検査については、必要な際には実施できるよう保健所体制の強化を国に要望しています。感染不安がある方への無料ＰＣＲ 検査は、５類移行後は不要と考えています。

●石田；病床の確保・拡充について伺います。

私たちは、医療体制の脆弱性を改善するため、その拡充を求めてきました。

本県は昨年６月、「新型コロナウイルス対応に係る検証と国への提言」を行い，『コロナで顕在化した保健医療提供体制の問題点』として、民間中心で公的機関が少ないこと、平時に最適化された経営を求められてきたため有事に必要な健康危機管理対応を行う余裕を持てないことなどを提言しています。

厚労省は２０１９年に「病床削減」を前提とした公立・公的医療機関等の再検証を要請、本県の対象は１０病院でした。県は、再検証の要請通知を受け、対象医療機関の再検証結果をまとめています。

本県の病床数は、特に一般、療養、精神、感染症、結核病床が全国平均より低い状況です。

２０２２年４月１日時点の2次保健医療圏ごとの既存病床数は、横浜、相模原、横須賀三浦、湘南西部、県央の5つにおいて、基準病床数を下回り病床不足となっています。県は現在、第８次保健医療計画（医師確保計画）」策定に向けた議論を始めています。

公的医療機関が少ないことに言及した国への提言を踏まえれば、公的病院における急性期・高度急性期病床は増やすべきと考えますが見解を伺います。

知事；新たに病床整備を行う場合、不足する病床機能を優先的に整備する必要がありますが、本県では回復期病床が不足しています。仮に民間病院で回復期病床の整備が進まない場合は、公的病院が回復期への転換を図る必要がありますから、公的病院が急性期・高度急性期病床を増やすことには課題があると考えています。

石田；既存病床数が基準病床数を下回り、病床が不足している５つの医療圏の病床の確保対策を伺います。

さらに、「第８次保健医療計画」に必要な医療体制、不足する病床機能の確保、医療従事者の確保・養成をどのように盛り込むのか見解を伺います。

知事；本県では現在５つの２次医療圏で、地域医療構想調整会議において病床の確保に向けた協議を行っています。今後も地域の医療関係者や市町村と協調し必要な病床の確保に取り組んでいきます。

第８次保健医療計画の策定に向けた基本的な見解について、県では令和５年度中に第８次保健医療計画を策定しますが、計画では今年度末に国から示される計画策定指針を踏まえ必要な病床数や医療従事者数などの数値目標に基づき必要な取り組みを検討します。

石田再質問；病床の確保拡充について伺います。

民間中心で公的機関が少ないこと、余力がないとコロナ患者を受けることができないということを県自身も国に提言しています。

新興感染症の大流行を踏まえた医療提供体制が必要です。コロナでの医療崩壊の教訓を踏まえ体制を構築すべきですが見解を伺います。

知事；国は第８次医療計画の策定にあたり、新興感染症への対応を盛り込むとしています。新興感染症にも対応できる医療提供体制を検討してまいります。

＊これで３回に及んだ一般質問の報告を終わります。膨大な内容を正確かつコンパクトにまとめるのに苦労しました。でも基調で切実な問題が凝縮されています。ご覧いただきありがとうございました！　（2023.2.22）