●あさか由香さんと私のトークセッションを企画しました。テーマは働き方。
進め方は、あさかさんと私のまとまった話をそれぞれ20分ずつ、その後会場からの発言受けてのやり取り、最後に改めて二人のコメント、という具合です。
●あさかさんは、最初に先の参議院選挙についての報告から。
「生活に政治を近づける」が、選挙に臨んだスローガンでした。三人目の子どもの出産を経て、育休が明け通常の選挙戦となったのは、7月の投票日目前の4月。
このような形で選挙に臨むのは大変怖いことです。あさかさん自身もこの決意の発表の時には「体が震えた」といいます。
出産育児をしながら選挙を戦うというのは、本人の決意とともに、それを支える仲間がいなければできません。県内で無数の人たちが、あさか由香に成り代わって、選挙政策を騙り支持を訴えました。
●結果は次点という残念なものでしたが、この選挙に臨む姿は県内にとどまらず全国に影響を与えました。あさかさんの選挙戦は、朝日・神奈川・熊本・東奥日報・高知の各新聞に取り上げられました。
たくさんのメッセージがあさかさんに寄せられました。わがことに照らしての共感でした。政治から遠ざけられてきたのはもちろんの事、仕事をしていくうえでも差別を受け、また家事・育児とのはざまで苦しんできた女性が、いかに多いかを示しています。
●今回の参議員選挙であさかさんは、「労働条件改善は経済成長につながる」を、仕事にかかわるキーワードとして強調しました。これは日本共産党の「強く優しい経済」というスローガンそのものでもあります。人間らしく働きながら、経済が活性化する、これは誰しもが願うことだと思います。
これを神奈川県議会で公共部門から始めてほしいとあさかさんは結びましたが、この点は私の話と重なります。
●私は、雇用形態にこだわる理由から話し始めました。というのも主要な労働条件である賃金・労働時間以外に、雇用形態が現在の日本において大きな問題であると考えているからです。
私は公共職業安定所の仕事を通じて、まさに「悪貨が良貨を駆逐する」が如く、派遣労働が直接雇用を破壊していくさまを見てきました。
●派遣労働は1985年の成立以来規制緩和を重ね、2003年の小泉政権時の派遣労働を製造業においても可能とする規制緩和が極めつけでした。
リーマンショック後の派遣切りによって、それは可視化されました。仕事と同時に住まいを失った労働者は、大きな荷物とともに職業安定所に並びました(派遣労働者は工場近くの寮に入いりながら働くことが多くありました)。また派遣労働者に関わる調査は、労務課などではなく「資材課」と行いました。
●その後、ひたすらコスト削減を追求する経営者は、常用雇用をごく一部にとどめ、派遣労働・細切れ雇用の活用をひた走りました。
直接雇用・無期雇用が当たり前だった雇用慣行は、このように駆逐されていきました。事業主が働く人を大切にしない根幹がここにあると私は思っています。
このような体験を通して物のように放り出される派遣労働ではなく、双方が責任を伴う直接雇用を基本にしたいという思いが、私には強くあります。
●雇用形態を正しながら、人間らしい働き方を追求する。自治体行政としてそれを実践するには、公的な部門を正すことから可能になると思います。
例えば「教員の正規化」、「教育の場に不安定雇用を作るな」と、私は度々訴えました。来年度に向けた正規職員の数は、従来より増えました。
県立図書館司書は約半数、消費生活相談員・女性相談所相談員は100%が会計年度任用職員という非正規雇用です。この専門性と継続性を必要とする仕事の正規化も求めています。
指定管理者制度見直しを求め、労働条件に配慮した選考基準に少し近づけることもできました。
会計年度任用職員は、不安定な単年度ごとの任用をあえて制度化するもので、これも見直しを求めています。
医療体制を拡充していくことも自治体として、医療とともに、働き方に貢献します。
看護師・介護職員・保育士などの公定価格の引き上げも必須です。
●会場からは、教師の過酷な現場からの報告含め、ご意見や疑問も多く出され、参加の皆さんとともに考えるきっかけともなりました。またこのような企画を考えたいなと思いました。(2022.12.10)