●10月12日から始まった決算委員会、11月4日が最終日。討論で決算認定に反対しました。
反対理由の基本的な点は次の通りです。
●決算の一つは、「令和3年度神奈川公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算」です。この決算には、「箱根地区水道事業包括委託」が含まれているため反対しました。
県営水道では、箱根地区水道事業全体を民間に委託しています。その目的として、民間事業者が技術を修得するためのフィールドとして提供し、これをモデルケースとして民間事業者が他の自治体でも水道事業を行えるように、さらには海外でも事業展開できるようにすると謳っています。
神奈川県がなぜ、民間事業者の他自治体や海外での事業展開のために、箱根地区を提供しなければならないのでしょうか。そもそも命にかかわる水は、安全かつ低廉に、しかも安定的に供給されなければいけませんから、自治体が責任を持つべきです。海外では民間が採算重視した結果、水道料金が跳ね上がり再公営化したケースもあります。
県営水道は直営に戻すべきです。
●二つ目の決算は、「令和3年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算」です。
この決算については、反対の事案が多くあります。
*第一に、知事肝いりのヘルスケアニューフロンティア政策です。
この政策の一つの柱である「未病関連事業」は、その殆どが当事業によって開発された企業の商品やサービスを、県民がお金を出して購入するという仕組みです。
自治体が県民の医療・福祉を増進するという役割を逸脱したものであり、私たちは一貫して反対してきました。県民に買わせるのではなく、市町村健診事業などと連携し、県民の健康を直接保障すべきです。
*次にオリンピックについてです。
私たちは、県民の命を守るという点から、コロナ禍の下でのオリンピックは中止すべきと主張してきましたが、感染拡大が続く中でオリンピックは強行されました。オリンピック開催にかかわる人権問題や数々の不正が次々と発覚しています。このような行事に自治体の税金を使うことも検討を迫られています。
*次に住民要望とかけ離れた大型開発です。
受託リニア中央新幹線新駅設置推進対策費やツインシティ整備計画に伴う土地区画整理事業費補助、東海道新幹線新駅設置推進対策費、湘南アイパークを中心とした村岡地区新駅設置建設事業費などは見直しを求めてきました。
多摩川にかかる羽田連絡道路についても、通常の枠を超えた補助を可能とするために「羽田連絡道路整備特別補助金交付要綱」まで作り、川崎市とともに事業を推し進めてきました。この結果河口から5キロの間に5本もの橋が存在することになり必要性は小さいうえ、貴重な干潟の自然破壊にも繋がると指摘されています。
*次に「セレクト神奈川NEXT」などの企業誘致策です。
誘致企業に対し県内発注は努力義務としていますが、県内雇用については不問とし実態把握さえ行っていません。私たちはこれまでも巨額の企業誘致には反対をし、規模の縮小は行われてきましたが、多額の税を用いる誘致策を見直し、現存する中小業者への支援により力を入れるべきです。
*次に県立高校改革です。
この改革に伴う統廃合計画が実施されています。私たちは、「学校の過大規模化を招かない」「地域にバランスよく学校を存在させる」「少人数学級に備える」という点から学校の削減に反対しています。
また、無理な「特色づけ」を行い、教育内容の偏りや教育設備の大きな格差を生じさせています。一部の学校を突出させるのではなく、全ての学校の教育環境を拡充すべきです。
*次に学ぶ権利の保障です。
かながわ朝鮮学園に通う生徒への学費補助を打ち切るなど、差別助長の対応を行っています。この姿勢を改め、全ての子どもの学ぶ権利を等しく保障すべきです。
*次に議会費における県政調査費です。
各会派が使える調査費としては政務活動費があり、議会費に改めて設ける必要は認められません。一人当たり100万円の上限額も高すぎます。この制度は見直すべきです。
*次に国民健康保険事業会計についてです。
国の施策に規定されるとはいえ、結果的に法定外繰り入れを制限し、保険料の徴収強化を自治体間で競わせることになっています。他の健康保険と比べて高い国民健康保険料を引き下げるために、国にさらなる国庫負担を求め、社会保障として確立することが必要です。
以上を理由として、「令和3年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算」の認定について、反対しました。(2022.11.4)