●質疑の最終日は部局を問いません。私はインクルーシブ教育を取り上げました。やり取りの中心となった質問項目を紹介します。
【質問】6月20日の本会議において、私はインクルーシブ教育について取り上げ、本県の「インクルーシブ教育実践推進校の手引き」の記載内容について質問しています。
この手引きではインクルーシブ実践推進校の設置目的は「知的障害のある生徒が高校教育を受ける機会を拡大する」、ねらいは「共に学ぶ経験を通して、生徒同士の理解を深め、多様性を尊重する態度、互いの良さを生かして協働する力、社会性、思いやりの心を育む」とされていました。
これらの意義は認めながらも私は、「障害のある生徒の学習権や発達を保障する観点」を、手引に明記すべきと求めました。実際、障がいのあるお子さんについて「我が子の力がついているのか不安」という声が複数であがっていました。
それに対して教育長は、「様々な教育的ニーズに応じて必要な学習支援を行っており、当事者の学びを保障しその発達を支援している」と答えています。実際そう行っており、当然その点は確実に行わなければならないとするならば、手引にその観点を据えるべきだと思います。
また、以下の2点も当然踏まえるべきです。
1.文科省が示す「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)概要」には、「インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに」、「個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である」とされています。
2.「差別解消法」における合理的配慮も求められています。
見解を伺います。
【答弁】学習権や発達保障は重要。手引きには留意点として書いてある。権利や法を踏まえて配慮している。
●なぜこの観点を手引きの「目的及びねらい」に明記できない、あるいはしないのか不可解です。
「目的及びねらい」として明記していないことも反映して、「個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である」に応えきれていません。また、保護者からの不安もあれば、担当教師からも「個別のフォローが体制不足もありできない」との訴えがあります。
この不明な一線を越えることは私に課せられた宿題のような気持ちです。引き続き、他自治体の例や文科省の捉え方も併せて検証し、改善を求めたいと思います。 (2022.11.1)