●川崎区のことですが、小学生の登校時の通学路をめぐって相談があり、現地を訪れました。
京急「東門前駅」のホームに降り立ってびっくり。ホームのすぐ脇に構内踏切があるのです。街中の道路に踏切があるのではなく、上りと下りのホームをつなぐ跨線橋(橋上通路)の代わりに構内踏切があるのです!
この日の本題とは関係が無いのですが、驚きました。
●次に驚いたのが、東門前小学校の正門が登校時であるにも拘らずガッチリ閉まっている事でした。
駅のはす向かい、大師線に隣接して東門前小学校はあります。駅に直結する正門が登校時に閉まっているのは不思議な光景です。
これは、安全確保のために東門前駅前踏切を使用しない通学路になっているからでしょう。何故踏切を使用しないかといえば、駅近くの踏切通過の道路が狭く、生徒の待機場所が確保できないからだと思います。
では、児童はどこから学校に入るのか。線路を見渡すとはるか先に歩道橋があります。その歩道橋まで回り込むことになります。
●「京浜急行大師線連続立体交差事業」という、ほぼ全線を地下化する事業が計画されていました。これを実施すると15カ所の踏切のうち14カ所が廃止される予定でした。
ところが、二期区間とされる京急川崎から川崎大師までは、整備効果(事業に係る費用と得られる社会的効果を比較)が低いとされ中止に至りました。
川崎大師~小島新田の一期区間の内、川崎大師~東門前間は2020年度着工予定でしたが、川崎市は「コロナ禍による財政事情の変化」を理由に再検討対象として棚上げしています。
この工事が実施に至り京急大師線の地下化が実現されれば、踏切事情も改善され、安全確保はもちろんのこと、東門前小学校の正門も、晴れて登校時に使うことができるのではと思いました(改札口内の構内踏切という珍しい光景ももちろんなくなるでしょう!)。
川崎市は、これら住民の安全確保と利便性の向上に繋がる工事を、コロナを理由に後回しにするのではなく、羽田連絡道路などに先んじて行ってほしいと切実に思います。「整備効果指数」などとは別の視点も据え、安全確保には全力をあげるべきです。
●次に、通学路の調査です。大規模マンションが同時期に複数造られ、まとまった人数が学校に向けて移動するため、信号での滞留が問題となります。信号を待っていた児童の最後尾まで安全に渡りきれるか観察しましたが、最後がやはり間に合わない場面もあり、登校時だけでも信号機の調整が必要かなと思いました。
また主要道路を渡った後にも、要注意箇所がある事がわかりました。コンビニが沿線にありますが、ここにも見守りの保護者の方が立っています。409号線沿いということもあり、駐車場が広く大型車の出入りも激しいからです。
さらに、信号を渡る前にも危険な箇所があるとの訴えもありました。通学路に接し大型ホームセンターがあり、搬入車の出入りが多く、可能ならば、そこにも交通整理を配置したいという事でした。
●現状で可能な対策を探りながらも、このような場所の成立ちを考えざるを得ませんでした。
この一帯が以前どのような状態だったのか具体的な確認をしていませんが、工場などが移転し広大な跡地が残された場合、無秩序にマンションやホームセンターが隣接して造られたとしたら、住民の安全を確保することが困難な事態は容易に生じます。
まちづくりには採算性だけではなく、安全性や快適性の確保が不可欠です。(2022.5.9)