●2019年10月12日の中原区を襲った台風は忘れることができません。
それから1年5カ月。台風19号多摩川水害川崎訴訟原告団は、3月9日、横浜地裁川崎支部に提訴しました。
原告団は5法人含む72名。中原区4地域、高津区3地域の住民の方たちです。
損害賠償請求額は、約2億6736万9136円。(慰謝料共通100万円、家屋、家財、休業損害、治療費等)
●弁護団は次のように説明しています。
●<川崎市の責任>
台風当日、川崎市において、周辺地盤高を超えて逆流を生じさせる程度の水位の上昇は予見可能であり、またこれに基づき、水位が各排水樋管の周辺地盤高に達した時点でゲートを閉める義務があり、これを果たしさえすれば浸水被害を無くし、または減少させることができたことが明らかとなっている。よって川崎市の責任は免れない。
●<提訴の目的>
1 川崎市の責任を明らかにする
2 賠償による被災者の生活基盤の再建
3 再発防止策を前進させる
*被災者は2650人、原告への賠償はもちろんのこと、原告以外の被災者にも一定の保障を行わせる制度を求めて行く。
*個別救済という司法の役割を超えて、裁判を契機に、運動と相まって政策の形成をかちとりたい。
●提訴の夜行われた報告集会に参加しました。
台風19号を振り返るスライド上映の後、原告団長の挨拶。
「私たちはなぜ水害にあわなければならなかったのか」「わかったことは市内5つの水門を閉めてさえいれば、大部分の浸水は防げたという事です」「私たちは川崎市の不誠実な態度に怒っています」「水害のない、誰もが安心して暮らせる川崎市を次世代にバトンタッチするために戦います」。
団長は三児の母。
ついで弁護団団長挨拶、そして提訴の報告、26名の弁護団の紹介と続きました。
最後に市民ミュージアム元副館長濱崎好治さんから、「川崎市は住民被害に対する不誠実な態度だけではなく、市民の財産である文化財にも極めて無責任な態度に終始している。指定管理者に責任を丸投げしているが、市の責任は重大」との訴えもありました。(市民ミュージアムについて詳しくは、私の2019.12.29日付のブログをご覧ください)
●台風のさなか避難所を回り、帰り着いてから、一帯が水に埋まっている事を知った時の驚き。
翌日泥だらけになりながら、下沼部・山王町、午後は宮内を回り、被害状況に驚きながら、皆さんの声を伺いました。その翌日は、市民ミュージアムの惨状も。
水害のメカニズムが明らかになる中での無念な思い。
川崎市の説明会にも度々足を運びましたが、市は、市の樋管操作に誤りがあったとは一言も述べませんでした。
検証後、樋管操作マニュアルの変更を発表した際にも、「変更するという事は、今までのマニュアルは問題があったという事ですね?」との私の質問にも、まともな返事は返ってきませんでした。
●その不誠実さに被害者は怒りました。その怒りが愚痴に終わるのではなく、市の政策にも影響を及ぼそうとする具体的な行動をつくり出している事に、私は強く共感し、住民の皆さんに心から敬意を表するものです。
最近大きな成果をかちとった平間踏切を初めとした数々の市民運動に、「凄いな、川崎市民のエネルギー」と改めて感動。(2021.3.9)